
昨年、世界中のモータースポーツファンと映画ファンの心を同時に揺さぶった作品がある。それは、F1創設75周年を記念して制作されたジョセフ・コシンスキー監督の新作『F1 ザ・ムービー』だ。 ハリウッドを代表する俳優ブラッド・ピットが主演を務め、制作段階から大きな話題を集めたこの映画は、公開後、批評家と観客の両方を魅了し、「良質な大衆向け商業映画」の模範であるとの称賛を受けている。
0.001秒の勝負、『トップガン』製作陣が生み出した極限のリアリティ
映画の物語は、過去と未来、そして現在の葛藤を精巧に交錯させている。かつてF1の舞台で最も注目された有望株だったが、不慮の事故により優勝の目前で挫折し、転落を余儀なくされたドライバー「ソニー・ヘイズ」(ブラッド・ピット)が物語の中心だ。 時が流れ、引退の岐路に立たされていた彼に、長年の同僚「ルーベン・セルバンテス」(ハビエル・バルデム)が断れない復帰の提案を持ちかけ、ソニーは最下位チームである「APXGP」に合流し、再びステアリングホイールを握る。

復帰への道は平坦ではない。チーム内には勝利に飢えた天才ルーキー「ジョシュア・ピアース」(ダムソン・イドリス)がおり、ベテランのソニーと若き血のジョシュアとの間の世代差や価値観の衝突は日増しに深まっていく。さらにチームの戦略の欠如や技術的な限界まで重なり、APXGPは連日最下位圏をさまよう。 本作は、彼らが葛藤を乗り越え、一つの目標に向かって進む過程を、サーキット上の熱気と共に描き出す。
エッグ指数99%の神話、数値で証明されたウェルメイドな商業映画
『F1 ザ・ムービー』が観客に与える最大の衝撃は、間違いなく圧倒的な映像美とサウンドだ。前作『トップガン: マーヴェリック』で臨場感あふれる高空アクションを披露したジョセフ・コシンスキー監督は、今回も自身の持ち味を遺憾なく発揮した。 ドライバーの視点から捉えた躍動感あふれるオンボード(On-board)レースシーンは、まるで観客自身が時速300kmを超えるレーシングカーに乗っているかのような錯覚を誘う。

視覚的な楽しさに拍車をかけるのは、聴覚的な要素だ。実際のサーキットの轟音をそのまま再現したかのような精巧な音響効果と迫力満点の解説、巨匠ハンス・ジマーによる壮大なスコアが、観客のアドレナリンを噴出させる。ここに有名ポップ歌手が参加した多彩なOSTまで加わり、映画は一つの巨大な「体験型コンテンツ」へと生まれ変わった。 こうした強みのおかげで、IMAXやドルビーシネマなどの特別館での鑑賞ブームが巻き起こり、「映画館の存在意義を改めて証明した」という絶賛が相次いだ。

映画に対する好評は数字にもはっきりと表れている。 ロッテン・トマトの批評家スコアは83%、観客の満足度を示すポップコーン指数はなんと97%を記録した。特に韓国国内でも実際の観客からの支持を受け、CGVゴールデンエッグスコア97%から始まり、口コミで広がり逆走を記録、到達するのが極めて難しいとされる99%のスコアを達成するという快挙を成し遂げた。

本作は現在、NAVER基準で8.95点の評価を記録している。映画を観た観客からは「ウスマン・デンベレの素晴らしい演技を堪能した。 チャンピオンズリーグ優勝おめでとう。サッカーと演技、二兎を追って両方を手に入れたね」、「自分を信じる者は結局は成し遂げるということを、最もF1らしく見せてくれた映画」、「飛び上がる瞬間には何も聞こえないというソニーの言葉通り、世間の関心や人気さえも、レースの前では聞こえてはいけない雑音に過ぎない」、「家で観て聴くのとは次元が違う。 映画館で観ることをお勧めする」、「エンジン音が残した高鳴りが止まらない」、「3回観たが、一度も感動しなかったことはない」、「観ずにOSTだけを聴いていたが、気になって再上映で観た。後悔のない選択だった。 観る前と後でOSTの感動が違ってくる」、「馴染みのある味わいだが、心を揺さぶるロマンは相変わらずだ」、「爽快なレースに感動まである最高の映画」といった感想を残した。

俳優ブラッド・ピットの活躍も外せない。2013年の『ワールド・ウォーZ』以来、久々に大型テントポール・ブロックバスターの主人公として戻ってきた彼は、苦悩するベテランドライバーの内面を繊細に描き出し、その名に恥じない活躍を見せた。歳月が流れても変わらない彼のスター性と演技力は、映画の重心をしっかりと支えている。

ストーリー構成において一部の細かい議論はあるものの、『F1 ザ・ムービー』が大衆性と芸術性を同時に兼ね備えた傑作であることは間違いない。赤信号が消え、運命をかけたレースが始まる――そのスリルを味わいたい観客にとって、この映画は最高の選択肢だ。

