
6シーズン目を迎えた『エリザベート』の新たな挑戦
10年余りの歴史を経て、舞台美術と衣装を一新したミュージカル『エリザベート』が韓国で6シーズン目を迎えました。華やかなハプスブルク家の皇室を背景にした本作ですが、その核心にあるのは皇后という肩書きを超え、一人の人間が自分の人生を主体的に選択できるかという普遍的な問いかけです。
8月16日にソウルのブルースクエア・ウリ銀行ホールで開幕した本公演は、オーストリア皇后エリザベートの生涯に、超越的存在である「死(Der Tod)」を擬人化して絡めるという独創的な設定で展開されます。1992年にウィーンで初演されて以来、世界各国で親しまれてきた名作であり、韓国では2012年の初演から今日に至るまで、絶えず再演を繰り返す人気作です。
視覚的演出の大幅なリニューアル
今シーズンで最も注目すべきは、洗練された舞台装置の変化です。エリザベートの扇子をモチーフにした巨大なプロセニアムを中心に構成され、象徴的な鷲のオブジェなどを配することで、人物の心理と空間を視覚的に再構築しました。かつてあった肖像画のセットは廃され、代わりに大型額縁とドレスのオブジェが採用され、より象徴的で洗練された美術表現がなされています。
また、映像技術の活用により場面の密度を高めました。幼少期から皇室の庭園、そして「死」の登場シーンに至るまで、大型スクリーンを用いた背景効果が物語の劇的効果を増幅させています。特に、抑圧を象徴するゴシック様式の石柱や「鳥籠の扉」は、エリザベートが感じる孤独や閉塞感を際立たせています。
時代背景と衣装による心理描写
衣装については「死と生」をテーマに総勢16着のエリザベートのドレスを用意し、時代の変遷に合わせてパニエも6種類製作するなど、徹底したこだわりが見られます。また、「死」というキャラクターの造形においても、従来のロマンチックな解釈からゴシック要素を強めたデザインへシフトし、ルキーニ役の衣装を含め、各キャラクターの個性をより鮮明に描き出しています。
名曲が語るエリザベートの魂
本作において最も象徴的な楽曲は、やはり「私は私だけのもの(Ich Gehör Nur Mir)」です。宮廷の規律と姑ゾフィーの統制の中で自我を失いかけるエリザベートが、皇后としてではなく一人の人間として生きることを誓うこの曲は、作品のメッセージを象徴するアンセムとなっています。
「最後のダンス」や「ミルク」など、強烈なロック調の楽曲から叙情的なバラードまで、音楽を通じて「死」とエリザベートの間の緊張感が強調されています。この構造は、韓国のミュージカルファンにとって「死」という非日常的な存在がエリザベートの渇望を映し出す鏡として認識されており、非常に高い評価を得ています。
新キャストが作り上げる新たな熱狂
11日の公演では、イ・ジスがエリザベート、ソ・ギョンスが死、ノ・ユンがルキーニを演じました。今シーズンより合流した3名は、それぞれのキャラクターを独自の解釈で演じ切り、舞台に新しい風を吹き込みました。イ・ジスは孤独と葛藤を細やかに表現し、ソ・ギョンスは圧倒的な存在感で官能的かつ威圧的な「死」を体現しました。さらにノ・ユンは、案内者としてのルキーニの二面性を巧みに表現し、物語の深みを増しています。
ミュージカル『エリザベート』は、11月15日までソウルのブルースクエア・ウリ銀行ホールにて上演されます。華やかな皇室という枠組みの中で、自らの自由を求めて戦った女性の軌跡は、現代を生きる我々にも問いかけを投げかけ続けています。

