
ソウル・新堂洞で繰り広げられる食の饗宴
レストランの記憶は、提供される料理だけでなく、その空間を共有した人物や交わされた会話によって形作られます。現在、ソウルで最も熱い注目を集めるエリアの一つが中区新堂洞(シンダンドン)です。かつては古い街並みが広がる地域でしたが、現在はレトロな情緒と新しい感性が融合し、美食の聖地へと変貌を遂げています。
今回、韓国の第1世代スターシェフであるエドワード・クォン氏の推薦により、チェ・サンヒョン氏が手掛けるダイニング「コンプレ(Complet)」にスポットを当てました。この日は、同じく料理人でありながら多方面で活躍するソ・ジニョン氏も同席し、三者による特別なテーブルが実現しました。
業界を牽引するシェフたちの邂逅
舞台となった「コンプレ」は、新堂洞の退渓路(テゲロ)に位置する人気レストランです。1階で営業する「ディピン(Deepin)」と同じくチェ・サンヒョン氏が運営しており、2階へと続く階段を上がると、1階とはまた異なる洗練された空間が広がります。
今回の注目ポイントは、この場所に集まった3人のシェフの経歴にあります。エドワード・クォン氏は、韓国において「スターシェフ」という職域を確立させたパイオニア的存在であり、テレビ出演や海外での豊富な経験を通じて、料理人の社会的地位向上に寄与しました。一方で、新堂洞で確固たる地位を築いたチェ・サンヒョン氏は、ディピンに続く新たな挑戦としてコンプレを展開し、独自のダイニング文化を提案しています。そこに加わったソ・ジニョン氏は、料理という軸足を大切にしながら、コンテンツ制作など現代的な手法で自身の道を切り拓いている気鋭の存在です。
時代を超えて共鳴する料理への哲学
異なる世代、異なる経歴を持つ3人が一堂に会した姿は、まさに新堂洞という町の象徴でもあります。古い路地の中に新しいスタイルの空間が芽吹き、多様な価値観が混ざり合うこの街は、彼らの関係性と深くリンクしています。
エドワード・クォン氏が築いたスターシェフとしての道と、後進のシェフたちが描く現在進行形の挑戦。歩んできた道のりは違えど、食を追求する情熱という一点で、彼らの目的地は一致しました。優れたレストランには素晴らしい料理がありますが、心に残る食卓には常に「人」の物語が刻まれることを、今回の対面が証明しています。

店舗情報
- 店名:コンプレ(Complet)
- 所在地:ソウル特別市中区退渓路411 2階
- 代表メニュー:トリュフバターサワードウ、ニョッキ、ビーフタルタル、旬の魚料理など
- オーナーシェフ:チェ・サンヒョン
※韓国のレストラン文化では、有名シェフがプロデュースした「予約困難な店」を訪れることは、単なる食事を超えたカルチャー体験として捉えられています。新堂洞は、特に若者や感度の高い層から「힙당동(ヒプダンドン:ヒップな新堂洞)」と呼ばれ、韓国でもトレンド発信地として注目されています。

