「技術を消費者の言葉に」韓国コスメ「アロセル」パク・ウィフン代表が語る、研究者から経営者への転換とグローバル成長戦略

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「良い製品から良い会社へ」…パク・ウィフン代表が語るアロセルの成長戦略

「研究」から「経営」へのシフト:アロセル パク・ウィフン代表が直面した責任の拡大

優れた製品を開発した研究者が会社を率いることになったとき、組織にはどのような変化がもたらされるのだろうか。韓国発のプレミアムバイオスキンケアブランド「アロセル(AROCELL)」の創業者であるパク・ウィフン代表にとって、最も大きな変化は「責任の範囲」だった。かつて原料や処方、製品の完成度にのみ没頭していた研究者は、今や人材、組織、そして会社の未来全体を見据える存在へと成長を遂げている。一つの優れた製品を完成させる段階から、持続的に高品質な製品を生み出し続ける組織(会社)を構築することへと、彼の問いは進化を遂げた。

「以前は良い化粧品を研究していましたが、今は良い会社がどのように作られるのかを研究しています」

当初は経営上の課題に対しても、研究者のように自ら答えを導き出そうと模索した。問題が発生すれば自ら解決に動いたが、会社の規模が拡大するにつれて、代表一人のリソースでは限界に達した。製品が消費者に選ばれるためにはその価値を伝えるプロセスが不可欠であり、持続的な研究開発のためには優秀な人材、健全な組織文化、そして再投資を可能にする収益構造が不可欠だからである。パク代表は自らの役割を「すべての答えを持つリーダー」から、「メンバーが最善の答えを出せるよう支援するサポーター」へと再定義した。

「選択・集中・検証・拡張」を徹底するマーケティング戦略

「良い製品から良い会社へ」…パク・ウィフン代表が語るアロセルの成長戦略

アロセルの成長を牽引した重要な意思決定は、研究室の外で行われた。優れた技術開発にとどまらず、その製品が「市場で本当に求められているか」を直接検証することに注力したのである。パク代表は、日本でも注目を集めるブランドのシグネチャーアイテム「スーパーコラーゲンマスク」を筆頭に、顧客の反応が良いコア製品にリソースを集中させた。デジタルコマースを通じて消費者がどのようなメッセージに反応するのか、使用時に何に満足し、どの部分に不便さを感じるのかを徹底的に分析。そのフィードバックを製品改善とマーケティング戦略に即座に反映した。そして、この成功体験を起点に、他チャネルやグローバル市場へと展開を広げていった。

パク代表が実践したプロセスは「選択し、集中し、検証した後に拡張する」という堅実なステップである。好機が見えるからといって手を広げるのではなく、顧客の支持が確認された製品へリソースを注ぎ込む。何をすべきかを選択することと同じくらい、「何をしないか」を決めることが重要であった。

技術を顧客の価値に変える「技術の消費者化」

技術的に優れているという事実だけでは、目の肥えた韓国コスメ市場やグローバルな消費者に選ばれる理由にはならない。顧客が「なぜ自分の肌にこの成分が必要なのか」を理解し、実際に使用した際に効果を実感し、その感動を他者に説明できるレベルに達して初めて製品価値が成立する。パク代表はこのプロセスを「技術の消費者化」と呼んでいる。

「優れた技術を顧客が理解できる言葉に翻訳し、肌で実感できる製品にし、再び購入したいと思える経験として完成させることです」

研究と市場をつなぐことは、単に専門用語を平易な言葉に書き換えることにとどまらない。原料の持つ可能性が最終製品でも発揮されているか、消費者が日常の使用プロセスでその価値を享受できているかを徹底的に見極める必要がある。開発者目線のこだわりが、必ずしも消費者にとっての最優先事項ではない場合もある。そのギャップを埋めることが、経営における重要なミッションとなった。

組織の急成長に伴う「CEOボトルネック」の解消

会社が急成長を遂げる中で、新たな組織的課題も浮き彫りになった。人員が増え、部門が細分化されるにつれ、以前は迅速に行われていた意思決定プロセスが複雑化した。各部門がそれぞれの目標に向かって奔走しているにもかかわらず、会社全体の方向性から乖離する現象が発生したのである。パク代表は、組織の成長スピードが事業の拡張速度に追いついていないと痛感した瞬間が、最も困難な時期であったと振り返る。

「CEOがすべての意思決定の中心に居座り続けると、結果としてCEO自身が会社の成長を阻むボトルネックになってしまいます」

「良い製品から良い会社へ」…パク・ウィフン代表が語るアロセルの成長戦略

この経験から、代表自身の自己評価基準も変化した。自らがどれだけハードに働くかではなく、「自分が不在であっても、組織が自律的かつ健全に機能しているか」を重視するようになった。単に人員を増やすだけでは解決しない。組織のスケールに合わせて、意思決定のシステムや業務フロー、そして関わる人材の専門性をアップデートする必要があった。

組織へ浸透させる「研究者としてのDNA」

パク代表が組織に根付かせようとしているのは、まさに「研究者精神(リサーチ・マインド)」である。既成概念に囚われず問いを立て、仮説を実行し、その結果からより良い答えを導き出す姿勢だ。実験結果が想定と異なる場合にデータを修正するのではなく仮説を修正するように、市場や消費者が予想と異なる反応を示したときには、経営陣の判断であっても柔軟に修正すべきだという。この検証プロセスは、製品開発のみならず、マーケティングや組織マネジメント全体にも一貫して適用されている。

現在もパク代表が中央大学医学部の博士課程に在籍し、研究を続けているのも、この姿勢の表れである。一人の研究者としてのアイデンティティを保ち続けることで、皮膚科学やバイオテクノロジーの急速な進化に取り残されず、過去の成功体験に縛られるリスクを回避している。最先端の学問に触れ続けることで、単に「どの原料をどう配合するか」という表層的な議論を超え、「肌の内部でどのような生物学的変化が起こり、それを科学的にどう実証できるのか」という本質的な問いかけが可能になるのである。

科学的エビデンスと商業的な経営判断が対立することもある。その際、パク代表はデータのみに依存せず、顧客のリアルな体験価値やビジネスの持続可能性を総合的に勘案する。仮にデータと直感が相反する結果を示した場合、どちらかを即座に切り捨てるのではなく、なぜその乖離が生じたのかを深く探求する。検証を重ね、市場での確証を得た上で意思決定に責任を持つのが彼の一貫したスタイルだ。

K-Beautyの枠を超え、顧客の一人ひとりに寄り添うグローバル展開

「良い製品から良い会社へ」…パク・ウィフン代表が語るアロセルの成長戦略

グローバル市場への進出においても、この本質的なアプローチは揺るがない。パク代表は、単に「韓国コスメ(K-Beauty)」というブームやブランド力だけに依存した海外展開は長続きしないと冷静に分析する。スーパーコラーゲンマスクに見られるような独自の密着感や、確かな使用感といった「製品そのものの完成度」こそが、国境を越えて支持される鍵となる。韓国国内での成功パターンをそのままあてはめるのではなく、ブランドのコアバリューを維持しながら、現地の購買行動や嗜好に最適化させるローカライズ戦略が求められる。

企業の規模がどれほど拡大しようとも、製品作りの妥協なき基準と、顧客に対する謙虚な姿勢だけは不変である。売上高という数字の背景には、自らのお金と期待を寄せて製品を手にしてくれた一人の顧客が存在する。規模の拡大に伴って個人の声が埋もれてしまうのであれば、それはアロセルが本来目指していた成長ではないと考えている。

「千人の顧客に愛された創業期の情熱を、一千万人の顧客に届ける瞬間まで守り続けられる企業でありたい」

パク・ウィフン代表が描き出すアロセルの未来像は、この言葉に集約されている。優れた研究成果を製品へと具現化し、顧客のフィードバックを次のイノベーションへと還元し、その循環を自立した組織が支えて幸いである。パク代表はアロセルを、自身が生涯をかけて取り組む「最も壮大で、最も息の長い研究テーマ」と定義している。その研究の真価は、これからも次世代の製品を創り出す開発者たちと、それを支持し続ける世界中の顧客によって証明されていくだろう。

ココナッツ編集室

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