
約15年間にわたり、ほぼ毎日のように顔を合わせていた特別な友人が、自身が俳優として生計を立てられるようになった途端、急に距離を置き始めた――。一見すると、成功した友人と距離を置いた冷淡な話のようにも聞こえますが、その裏には全く異なる温かい理由が隠されていました。これは、2017年に不慮の事故で亡くなった韓国の名優キム・ジュヒョクさんと、その親友である俳優ハン・ジョンスさんの間に生まれた、深く感動的なエピソードです。


15年間にわたり毎日を共にした特別な絆
ハン・ジョンスさんとキム・ジュヒョクさんは、韓国芸能界でも特に仲が良いことで知られた大親友でした。ハン・ジョンスさんは過去の番組出演時に、キム・ジュヒョクさんとは約15年にわたって家族同然の深い関係を築いており、かつては毎日のように顔を合わせていたと明かしています。
特に、ハン・ジョンスさんが約10年もの長きにわたる無名時代を過ごし、経済的・精神的に困窮していた時期、キム・ジュヒョクさんは黙って彼のそばに寄り添い、見守り続けていました。2018年に放送されたSBSのバラエティ番組『燃える青春』に出演した際、ハン・ジョンスさんは当時を振り返り、キム・ジュヒョクさんが食事をごちそうしたり、新たな人々との出会いの場を設けたりして、常に自分を支え続けてくれたと語っています。
ブレイク後に訪れた「距離」とその意外な理由
しかし、ハン・ジョンスさんが大ヒット時代劇ドラマ『チュノ〜推奴〜』などを通じて注目を浴び、俳優としての地位を確立し始めると、二人の関係性に変化が訪れました。ハン・ジョンスさんは「自分が俳優としてある程度食べていけるようになった頃から」、むしろキム・ジュヒョクさんと会う頻度が減ったと語っています。
その理由は、一般的な友情の破綻とは全く異なるものでした。キム・ジュヒョクさんは、自分の助けがなくても自立できるようになったハン・ジョンスさんを見届けた後、今度は他の苦境にある無名俳優たちのサポートに乗り出していたのです。
常に弱い立場の人々に寄り添い続けた人柄
ハン・ジョンスさんによると、キム・ジュヒョクさんは「つらい立場にいる人を見過ごすことができない性格」だったと言います。親友が自立したことを確認した彼は、かつてのハン・ジョンスさんと同じように苦しんでいる若手や無名の俳優たちと積極的に交流を持ち、食事を奢り、彼らの悩みに真摯に耳を傾けていました。
韓国の芸能界や社会文化において、先輩が後輩に食事をごちそうする行為は、単なる好意を超えた「情(ジョン)」や「絆」の象徴とされています。特に厳しい下積み時代を過ごす俳優たちにとって、信頼できる先輩からのこうした精神的・物質的な支援は大きな支えとなります。キム・ジュヒョクさんの行動は、まさにその情の精神を体現したものでした。つまり、「友人が売れたから距離を置いた」という話は、見捨てたのではなく、限られた時間の中で「今、本当に自分の助けを必要としている人」に手を差し伸べるための、彼ならではの極めて深い慈愛の選択だったのです。
突然の別れと今もなお語り継がれる温かいエピソード
二人の確固たる友情はその後も続いていました。ハン・ジョンスさんは2023年に出演したチャンネルAの番組『オ・ウニョンの重宝相談所』において、キム・ジュヒョクさんを「家族にも言えない本音を打ち明けられる唯一無二の友人だった」と言及。2017年のあまりにも突然の別れの後、長い間、深い喪失感に苦しんだことを告白しています。
表舞台でこれ見よがしに善行をアピールすることなく、本当に支援を必要とする人の傍らに静かに寄り添い続けたキム・ジュヒョクさん。友人の苦境期には全力で支え、自立した後は次の誰かへ温かい手を差し伸べるという彼の利他的な行動は、没後数年が経過した今もなお、韓国俳優界における彼の温かい人柄を示す象徴的なエピソードとして、多くのファンや関係者の間で語り継がれています。

このエピソードは、単なる美談にとどまらず、他者への気遣いと謙虚な支え合いの尊さを静かに伝える記録として、今も多くの人々の心を温め続けています。

