
フリアン・アルバレス(26)とアトレティコ・マドリードの関係が、もはや引き返せない地点へと向かっています。ホームのファンは、アルバレスがバルセロナへの移籍の意思を露わにしたことに激昂してブーイングを浴びせ、スタジアムでは彼を標的に「ネズミのぬいぐるみ」を投げ込もうとする不穏な動きまで見られました。
24日、スペイン・マドリードのメトロポリターノで行われたアトレティコ対ビジャレアルの2026〜2027シーズン・ラ・リーガ第2節。アルバレスの名前が交代リストでコールされると、ホームのファンからは容赦ないブーイングが沸き起こりました。後半21分に途中投入された際も状況は変わらず、ボールに触れるたびに罵声が浴びせられ、一部のファンは「今すぐ出ていけ!」とシュプレヒコールを上げました。
試合後の光景はさらに強烈でした。アトレティコの選手たちが観客席に向かって拍手を送りながら挨拶する中、アルバレスは一人でピッチを後にし、トンネルへと入っていったのです。外から見ればファンを完全に無視して立ち去ったように映りましたが、実はアルバレスが自ら挨拶を拒否したわけではありませんでした。ディエゴ・シメオネ監督は試合後、クラブ側がアルバレスに対し、先にロッカールームへ引き上げるよう指示を出したと明かしました。ファンの反応があまりに激しく、物理的な衝突につながるリスクを懸念しての判断だったとのことです。

それでも、この日のメトロポリターノの空気はすでに尋常ではありませんでした。一部のファンはアルバレスを標的に、なんとネズミのぬいぐるみを用意していたといいます。スペインのジャーナリスト、レンゾ・パンティッチ氏は25日、ファンがネズミのぬいぐるみを用意してピッチへ投げ込もうとしていた計画を確認したと伝えました。ネズミは欧州のサッカー文化において「裏切り者」を意味する強烈な蔑称です。この日、実際にぬいぐるみは投げ込まれなかったものの、ホームファンの感情がいかに悪化しているかを示す、あまりに象徴的かつショッキングな出来事でした。
アルバレスはこの夏、アトレティコを退団したいという意思を公然と示しました。特に、宿敵バルセロナへの移籍が自身の「夢」であると語ったことが火に油を注ぎました。アトレティコのクラブとファンからすれば、主力ストライカーがライバルチームへの移籍を公言するなど、到底受け入れがたい裏切り行為に他なりません。
アトレティコ側は即座に一線を画しました。アルバレスとの契約は2030年まで残っており、バイアウト条項の金額はなんと5億ユーロ。クラブは選手を放出する意思は全くないと、断固たる立場を貫いています。
バルセロナも動いてはいたものの、交渉は停滞したままです。バルセロナの財政問題に加え、アトレティコの徹底した姿勢により、事実上の破談状態が続いています。
とはいえ、移籍の噂が沈静化したわけではありません。ここ最近ではアーセナルが新たな移籍先候補として急浮上しています。『ガーディアン』紙は、アルバレスがファンから酷いブーイングを受けたことを受け、アーセナルへの移籍の可能性が再び現実味を帯びてきたと報じました。ただし、アルバレス本人はあくまでバルセロナ行きを熱望しているという見方も根強く残っています。

そんな中、チーム内からはアルバレスを擁護する声も上がっています。ヤン・オブラクはファンからのブーイングを受けた後、改めてチームが一丸となることの重要性を説き、シメオネ監督もアルバレスに対する変わらぬ信頼を強調しています。
去ろうとする選手、絶対に手放せないクラブ、そして裏切り者だと激昂する熱狂的なホームファン。移籍市場が閉まるその瞬間まで、アルバレスの去就は、全世界のサッカー界を揺るがし続ける熱い注目を集めそうです。


