
イングランド・プレミアリーグ(EPL)に所属する全20クラブのうち半数が、英国国内での営業許可を受けていない賭博業者とスポンサー契約や広告契約を結んでいることが明らかになりました。英国政府が現在推進している規制が施行されれば、これらのクラブは来年から数千万ポンド規模の収入を失う可能性があり、大きな打撃を受けると予測されています。
英紙ガーディアンは8日、EPLの10クラブが英国において未許可の賭博業者と商業的な関係を結んでいると報じました。この数字は今年の夏前までは6クラブでしたが、わずかな期間で10クラブにまで増加したことになります。
このような増加の背景には、今シーズンから施行されたEPL独自の自主規制が存在します。EPL各クラブは、2026-2027シーズンからユニフォームの前面に賭博業者のロゴを掲出しないことで合意に達しました。これを受け、一部のクラブは契約形態を袖のロゴやトレーニングウェア、スタジアム内の看板広告へと切り替える対応をとりました。
具体的には、エヴァートンは暗号資産カジノ業者のステークドットコム(Stake.com)と3年間のユニフォーム袖スポンサー契約を締結しました。フラムはSBOTOPの広告を試合用ユニフォームからトレーニングウェアへと移行しています。また、チェルシーやトッテナムといった他の名門クラブも、スタジアムの看板広告や選手関連の広告契約を締結している状況です。
なお、キュラソー島でライセンスを取得した8XBetは、チェルシー、ニューカッスル、アストン・ヴィラ、イプスウィッチ、コヴェントリーの計5クラブと契約を締結しています。
現在、英国政府は自国のライセンスを持たない賭博業者による、スポーツ分野でのスポンサー活動を禁止する法案を推進しており、関連する8週間の意見公募手続きも最終段階に差し掛かっています。
これに対し、EPL側は禁止案に反対の姿勢を崩していません。主な主張は、主にアジア市場をターゲットとして運営されている業者のサービスは、英国向けには公式提供されていないという点です。しかしながら、仮想プライベートネットワーク(VPN)を活用すれば、英国からでもこれらの業者へ容易にアクセスして口座を開設し、賭けを行える現状があるため、厳しい指摘がなされています。
政府が規制強化を急ぐ背景には、未許可の賭博市場が急速に拡大している深刻な状況があります。「公正賭博キャンペーン(Campaign for Fairer Gambling)」によると、未許可業者は2025年上半期だけで、英国の利用者から3億7900万ポンドもの収益を上げました。これは英国のオンライン賭博市場全体の約9%にあたり、2022年時点の2%から極めて短期間で大幅に上昇しています。
未許可の業者は、英国の正規ライセンスを受けた業者に課される「自己利用制限プログラム」や「入出金限度額」、そして「利用者の支払い能力確認」といった、保護措置を義務的に提供していません。そのため、ギャンブル依存症や過度な経済的損失のリスクを増大させているとの批判が強まっています。
さらに、違法スポーツ中継との密接な関連性も大きな問題として浮上しています。2024-2025シーズンの調査結果では、英国内の違法スポーツストリーミング配信の実に89%において、未許可の賭博業者の広告が露出していたことが判明しました。このような違法ストリーミングの蔓延は、EPLが保有する120億ポンド規模という膨大な放映権価値をも脅かす要因となり得ます。
今後、政府が禁止案を正式に確定させた場合、最大の争点は「既存契約の扱い」となります。EPL側は、既に締結済みの長期契約に関しては契約終了まで維持できるよう政府に求めていく公算が高く、仮に既存契約までも規制対象に含まれるような事態となれば、各クラブのスポンサー収入は深刻な減少を免れない見通しです。


