
1990年代に韓国の音楽シーンを席巻した名曲の数々が、中国語圏において無断で翻案され、現地で「国民的歌謡」として定着している実態が再び大きな議論を呼んでいます。
大物歌手による相次ぐ盗作疑惑
今回改めて問題視されているのは、「台湾のRAIN(ピ)」の異名を持ち、現地で絶大な人気を誇った歌手ウィルバー・パン(潘瑋柏)の過去の活動です。彼は台湾で国民的なダンスナンバーとしてヒットした楽曲を複数発表してきましたが、その多くが韓国で国民的人気を博した名曲を無断で盗用したものだったことが判明しました。

ウィルバー・パンによる盗作は単発的なものではなく、20曲以上もの韓国の人気歌謡がターゲットにされていました。これらの楽曲を基に彼は莫大な利益を得ており、現在も芸能界で活動を続けていると伝えられています。こうした組織的かつ露骨な著作権侵害が可能だった背景には、当時の韓国と台湾の複雑な外交関係が存在します。
外交の空白を悪用した構造的犯罪
当時、韓国と台湾の間では国交が断絶しており、著作権保護における法的な連携が極めて困難な状況でした。ウィルバー・パン側はこの法の網をすり抜ける隙を悪用し、韓国の楽曲を自身の作品として自由に流用しました。問題は、明らかな盗用であるにもかかわらず、現地ではこれらが彼らのオリジナル作品であると誤認されている現状です。
代表的な被害曲と悪質な手口
具体的な被害曲として、ヒップホップデュオFreestyle(フリースタイル)の感性豊かな名曲『Y』が挙げられます。ウィルバー・パンはこの楽曲のメロディをほぼそのまま流用し、『不得不愛』というタイトルで発表しました。両曲の類似性は明らかですが、彼は平然と活動を継続しました。
さらに、韓国で社会現象となったJINUSEAN(ジヌション)の『Tell Me(말해줘)』も標的となりました。彼は曲名までも英語でそのまま『Tell Me』と名付けて発表しており、原作者の権利を著しく侵害する行為を繰り返していたのです。
国家間の外交上の弱点を突いて他国の創作物を搾取する行為は、単なる著作権侵害を超えた道徳的欠如として批判されています。法的な空白地帯を利用して不当な利益を得ながら、本家として振る舞う音楽業界の姿勢は、国際的な知的財産権保護システムの脆弱性を浮き彫りにするケースと言えるでしょう。


