
ピッチの内外で、これ以上ないほどの不運が重なった。イングランド代表のベテランMFジョーダン・ヘンダーソン(36・ブレントフォード)が、ベンチで警告を受けたかと思えば、「広告看板での転倒による骨折」という信じがたいハプニングに見舞われ、ワールドカップの舞台から去ることになった。
イングランドは6日に行われた2026北中米ワールドカップ・メキシコとのベスト16戦で、一人退場者が出るという悪条件の中、3-2で劇的な勝利を収め、ベスト8進出を決めた。祖国の歴史的な勝利の裏で、ヘンダーソンは誰よりも過酷で、かつ滑稽な一日を過ごすこととなった。
ヘンダーソンはこの日のメキシコ戦で交代メンバーに名を連ねたものの、出場機会はなかった。しかし、試合の公式記録には彼の名前の横に鮮やかなイエローカードが1枚刻まれた。後半、タッチライン付近でウォーミングアップをしていたヘンダーソンが、試合中に起きた判定に対して激しく抗議し、主審と衝突したためだ。当時、数的不利に立たされ、ただでさえ緊迫した神経戦を繰り広げていたイングランドとメキシコのベンチ間の泥沼の争いに加わったことで、ベンチメンバーがイエローカードを受けるという珍事が発生した。

グループリーグのパナマ戦終盤に記録した7分間の出場がすべてである彼が、試合に出場することなく警告を受けたのだ。さらに大きな悲劇は、試合終了のホイッスルが鳴った直後に起きた。劇的な勝利の喜びに浸り、観客席の前に駆け寄ったヘンダーソンは、ファンと共にオアシスの「ワンダーウォール(Wonderwall)」を熱唱した。ピッチに戻るためにスタジアム周辺の広告看板(Aボード)を飛び越えようとした際、足が引っかかって転倒し、手をついた拍子に手首が完全に折れてしまった。激しい痛みを訴えたヘンダーソンは、酸素マスクをつけたまま担架で運ばれ、メキシコシティ市内の病院へ緊急搬送された。
「ジ・アスレチック」は、「精密検査の結果、手首の骨折が確認され、直ちに手術を受けることになったため、ワールドカップの招集解除が公式発表された」と伝えた。イングランド代表チームが次の決戦地である米マイアミへ移動する間、ヘンダーソンは医療スタッフと共に一人メキシコシティに残ることとなった。ベテランのヘンダーソンは、ピッチの中ではなく「ベンチでの抗議」と「試合後のセレモニー」で強烈な印象を残し、ワールドカップの舞台を去ることになった。

イギリスのサッカーファンたちはSNSを通じて、虚しさや残念さ、そして揶揄の声を送っている。「オアシスの歌はイングランドに感動を与えたが、ベテランの手首を奪った」「広告看板の頑丈さを世界に知らしめた」「7分出場して1警告1骨折」といった反応が続いている。
ヘンダーソンがエントリーから外れたイングランドは、12日に米フロリダ州マイアミ・スタジアムで行われる準々決勝で、アーリング・ハーランドを擁するノルウェーと対戦する。


