
人々が深く眠りにつく30日未明。仁川空港第2ターミナルは、大勢の人出で溢れかえっていた。彼らが睡眠時間を削ってまで空港に集まった理由はただ一つ。韓国サッカー代表チームの洪明甫前監督の帰国を見届けるためだった。長い待ち時間の末に入国ゲートが開き、洪監督が姿を現すと、空港は無数の罵声で満たされた。雰囲気はこれまでになく殺伐としていた。
2026国際サッカー連盟(FIFA)北中米ワールドカップの日程をすべて終えた洪監督が、30日午前に帰国した。趙賢祐(蔚山)、金玟哉(バイエルン・ミュンヘン)、黄仁範(フェイエノールト)、黄喜燦(ウルヴァーハンプトン)、白昇浩(バーミンガム・シティ)、金紋煥(大田)、李剛仁(パリ・サンジェルマン)、薛英佑(ズヴェズダ)、呉賢揆(フェネルバフチェ)ら8人の選手も洪監督と共に帰国した。
空港の雰囲気が殺伐としているのも当然だった。
2022カタールワールドカップで史上2度目の遠征ベスト16入りを果たした韓国は、今大会ではグループリーグで1勝2敗、勝ち点3にとどまり、A組3位に終わった。そして「希望拷問(期待を持たせて苦しめること)」の末、組3位の12チーム中10位に沈み、32強に進出できなかった。参加国が48カ国に拡大された今大会で、韓国の最終順位は34位。順位だけで言えば、ワールドカップ参加史上最も悪い成績である。

特に、引き分けさえすれば組2位が確定し32強に進出できた南アフリカ共和国とのグループリーグ最終戦で0-1と敗れた余波が大きかった。予想外の拙戦も納得しがたいが、洪監督が敗戦の原因をよく分からないと答えたことで、火に油を注ぐ形となった。結局、28日に韓国のトーナメント敗退が最終確定すると、洪監督はメキシコ現地で自ら辞任した。
洪監督と代表チーム、大韓サッカー協会に対する批判はこれまでになく激しくなり、李在明大統領をはじめとする政界でも大きな問題となった。さらに洪監督に対する「殺害予告」まで投稿され、この日の帰国現場には多数の警察官が配置された。協会は状況を考慮し、2002年日韓ワールドカップ以降初めて、空港での帰国イベントを行わなかった。
当初午前4時に到着予定だった飛行機が時間を繰り上げ、1時間ほど早く到着した中、早くから入国ロビーを埋め尽くした怒れるファンたちは太鼓を叩き、「洪明甫は出て行け」「洪明甫は消えろ」などと大声で叫んだ。
午前4時になろうとする頃にゲートが開き、洪監督が姿を現すとファンの声はさらに大きくなった。洪監督と選手たちは足早に入国ロビーを後にした。洪監督は協会が用意したバスに直ちに乗り込み、金玟哉をはじめとする選手たちは少し立ち止まった後、別途用意されたバンに乗って移動した。洪監督は取材陣の質問には答えなかった。
一方、洪監督が乗ったバスが去り、人々も一人二人と立ち去る中、洪監督より10分ほど遅れて大韓サッカー協会の鄭夢奎(チョン・モンギュ)会長がゲートに姿を現した。鄭会長が入ってくると、あるファンが異物を投げつけ、警察が制止する一幕もあった。ゲートを抜けた鄭会長は何も語らず、あらかじめ用意されていた乗用車に乗って空港を去った。



