
イングランド・プレミアリーグ(PL)のシーズン序盤、最下位にまで沈んだトッテナム・ホットスパーが、驚異的な巻き返しを見せている。気がつけば順位は9位まで浮上。低迷からの脱却を果たした背景には、戦術的な柔軟性だけでなく、選手団の結束力回復と闘志の復活という目に見えない変化がある。
616日ぶりの3連勝で見せた覚醒
ロベルト・デ・ゼルビ監督率いるトッテナムは、第10節のリーズ・ユナイテッド戦を前に、リーグ戦で3勝3分け3敗の勝ち点12を獲得し、9位につけている。第6節まで勝利がなかったことを踏まえると、劇的な転換である。特に3連勝は、ソン・フンミンが主将としてチームを牽引した2024-2025シーズンの2025年2月以来、約616日ぶりの快挙となった。この急浮上の要因について、英メディア「デイリー・メール」は複数の観点から分析している。

3時間のチーム会議で得た「絆」
反転の最も重要な転換点として、マンチェスター・ユナイテッド(マンU)戦前に行われた「3時間のチーム会議」が挙げられる。デ・ゼルビ監督は選手・スタッフ全員を集め、午後8時から11時まで率直な対話の場を設けた。ここでは戦術や数値といった業務的な話ではなく、各選手が抱える悩みや弱点を互いに打ち明け、人間的な関係性を構築することに集中したという。
この会議により、選手たちは「仲間のために走る」という意識を共有し、チームとしての結束力が高まった。これは韓国のスポーツ文化においても「チームワーク」を重んじる精神と通じるものがあり、技術を超えた結束がピッチ上でのパフォーマンス向上に直結したと見られる。

戦術変更と戦う姿勢の体現
ピッチ上の変化も顕著だ。ロドリゴ・ベンタンクールの退場という困難を経験しながらも、マンU戦でドミニク・ソランケが同点弾を叩き込んだ場面は、チームの闘志を象徴するものだった。デ・ゼルビ監督は、戦術的にベンタンクールの穴を埋めるために3バックを導入し、状況に応じて柔軟にフォーメーションを切り替える采配を見せている。
中盤ではサンドロ・トナーリとマテウス・フェルナンデスの連携が確立され、シーズン当初に苦しんだトナーリの覚醒も中盤の安定感を生んでいる。単に技術に依存するのではなく、ファンが求める「戦う姿勢」をチーム全体に植え付けたことが、現在の連勝街道へとつながった。

復帰組の貢献と今後の展望
ジェームズ・マディソンの約18ヶ月ぶりの先発復帰や、デヤン・クルゼフスキの長期離脱からの復活も大きなプラス材料だ。マディソンの創造性は攻撃のスピードを加速させ、ソランケとの連係も深まっている。チームが本来の戦力を取り戻しつつある今、上位進出への期待は高まるばかりだ。
かつての「ソン・フンミン時代」に匹敵する勢いを取り戻したトッテナム。次なるリーズ戦でその上昇気流をどこまで維持できるか、注目が集まる。


