
ドナルド・トランプ米大統領による看板ストライカーの「救命要請」も、開催国アメリカを救うことはできなかった。ベルギーがアメリカを「真の教育(完勝による教訓)」で叩きのめした。
アメリカは7日、米ワシントン州シアトルのルーメン・フィールドで行われた2026北中米W杯決勝トーナメント1回戦で、ベルギーに1-4で完敗した。共同開催国のアメリカは24年ぶりのW杯ベスト8進出を目指したが、その夢は叶わなかった。これにより、先に敗退したカナダとメキシコに続き、開催国3カ国すべてがベスト16で姿を消すこととなった。
試合以上に大きな話題を集めたのは、試合前に起きた「バログン騒動」だった。アメリカのFWフォラリン・バログンは、ボスニア・ヘルツェゴビナとのグループステージ最終戦で相手選手を踏みつけて退場処分を受けた。国際サッカー連盟(FIFA)の規定上、自動的に1試合の出場停止処分を受ける必要があり、ベルギー戦の欠場が濃厚だった。しかし、FIFAは試合前日になって突然、バログンの処分効力を停止すると発表した。
その背景にはトランプ大統領の存在があった。トランプ大統領はジャンニ・インファンティーノFIFA会長に直接電話をかけ、バログンの処分を再検討するよう要請し、その後FIFAが処分を猶予したことで、世界のサッカー界は大きな衝撃に包まれた。

トランプ大統領も取材陣に対し、インファンティーノ会長と通話した事実を認めた。彼は「アメリカ国民全員がその選手がプレーする姿を望んでいた。公正な決定を求めただけだ」という趣旨で釈明したが、サッカー界では開催国と政治権力の圧力がFIFAの決定に影響を与えたという批判が殺到した。
ベルギーサッカー協会は試合当日、バログンの出場資格について公式に異議を申し立てたが、FIFAはこれを即座に棄却した。
ベルギーのルディ・ガルシア監督は試合前の記者会見でバログンの処分猶予の知らせを聞き、「W杯では7月5日がエイプリルフールなのか」と、呆れた反応を見せていた。
ベルギーはトランプの理不尽な小細工を、実力で黙らせた。前半9分、シャルル・デ・ケテラーレが先制ゴールを決めて主導権を握った。アメリカは前半31分、マリック・ティルマンのフリーキックによる同点ゴールで均衡を保った。

しかし、アメリカの喜びは長くは続かなかった。わずか2分後、デ・ケテラーレが再びヘディングでゴールネットを揺らし、ベルギーが勝ち越した。後半にはアメリカのGKマット・フリースによる致命的なミスが勝敗を分けた。後半12分、フリースがペナルティエリア外へ飛び出してボールを処理しようとしたところをハンス・ヴァナケンに奪われ、ヴァナケンは無人のゴールへ冷静に流し込み3-1とした。
後半アディショナルタイムには、途中出場のロメル・ルカクがダメ押しゴールを決め、勝負に終止符を打った。
バログンは処分猶予のおかげでクリスチャン・プリシッチと共に先発出場したが、ベルギーの守備に完全に封じ込められ、これといった活躍を見せることはできなかった。
むしろベルギーの決定力が光った。アメリカはポゼッション率52%を記録し、ボールをより多く保持したが、シュートは7本にとどまった。一方、ベルギーは15本のシュートのうち7本を枠内に飛ばし、4得点を挙げた。
AFP通信は「試合前のバログン騒動で隠れていた勝負は、ベルギーの圧倒的な試合運びで幕を閉じた」と評価した。
対アメリカ戦7連勝を継続したベルギーは、この日ポルトガルを1-0で破ったスペインと準々決勝で対戦する。



