

プレミアリーグで苦戦が続くトッテナム・ホットスパーを巡り、英国現地メディアからかつての名将マウリシオ・ポチェッティーノ監督と、元エースであるソン・フンミンの「劇的な再会」の可能性に言及する報道が飛び出しました。
イギリスメディア「ザ・サン」は、「ポチェッティーノ監督がトッテナムに戻っていたなら、チームは今とは全く違う姿だったかもしれない」と報じ、当時の体制が継続していた場合の仮定について解説しています。
「もしポチェッティーノ監督が復帰していたら」英メディアが描くシナリオ
同メディアは、「ポチェッティーノ氏は、もしトッテナムが2部リーグに降格していたとしても、復帰の要請があれば戻っていただろうと明かしている」と指摘した上で、「ポチェッティーノ氏であれば、左サイドや最前線で自身と共に戦った信頼の厚い選手たちを再び呼び戻した可能性がある。ソン・フンミンはトッテナムでロマンチックな再会を果たしていたかもしれない」と主張しました。
さらに、同監督がスピードのあるフルバックを好む傾向にあることから、「ジェド・スペンスの移籍には反対したはずだ。また、左サイドバックの補強候補としてベン・チルウェルを説得し、獲得に動いていた可能性も十分に考えられる」と付け加えています。

開幕から深刻な得点力不足に喘ぐ新生トッテナム
イギリスメディアが突然、すでにクラブを離れたポチェッティーノ元監督やソン・フンミンの存在に再びスポットライトを当てている背景には、現在のトッテナムが深刻な不振から抜け出せずにいる現状があります。
トッテナムは2026-27シーズンのプレミアリーグ開幕後、3試合を終えた段階で1分け2敗、勝ち点1で17位に低迷しています。さらに深刻なのは、開幕からリーグ戦で未だに1点もゴールを決められていないという点です。ノッティンガム・フォレストとの第3節でも0-0の引き分けに終わり、3試合連続無得点という極めて厳しいスタートを余儀なくされています。
エースとして牽引したソン・フンミンが退団した昨シーズン、トッテナムは最終的にリーグ17位というクラブ史に残る不振を極めました。同様の失敗を避けるべく、クラブは今夏の移籍市場において、3億ポンド(約580億円)を超える多額の資金を投じ、大規模なチーム再編を敢行しました。
補強の目玉としてサンドロ・トナーリ、マテウス・フェルナンデス、サヴィーニョ、さらにはレンタル後の義務買い取りオプションを含む形でオマル・マーモウシュを獲得するなど、攻守にわたる積極投資を行いました。しかし、それだけの巨額補強を行ったにもかかわらず、リーグが始まると無得点かつ17位という、昨シーズンと同様のスタートラインから脱却できていません。

黄金期を築いたポチェッティーノ体制と伝説の「DESKライン」
このような厳しい状況だからこそ、クラブの黄金期を築いたポチェッティーノ監督の時代が美化され、懐古されるのは当然の帰結とも言えます。同監督は2014年5月から2019年11月までトッテナムの指揮を執り、通算293試合で160勝60分け73敗という安定した戦績を残しました。
彼の就任期間は、トッテナムにとって2010年代における最高の全盛期でした。就任1年目にリーグカップ(カラバオカップ)準優勝を記録すると、2年目にはリーグ3位、そして3年目の2016-17シーズンにはプレミアリーグ2位という、1992年の現リーグ創設以来の最高順位を叩き出しました。
当時のチームは若く魅力的な攻撃タレントに溢れており、ソン・フンミン、ハリー・ケイン、デレ・アリ、クリスティアン・エリクセンの4人は、それぞれの頭文字を合わせて「DESK(デスク)ライン」と呼ばれ、欧州を席巻しました。クラブ公式SNSでも「ファンタスティック4」として親しまれ、チームの攻撃を絶対的に支えるレギュラーメンバーでした。

色褪せない絶対的エースへの思慕と未完の再建計画
この強力な「DESKライン」を擁したトッテナムは、2016-17シーズンにプレミアリーグの最多得点チームとなり準優勝に大きく貢献したほか、2018-19シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグでも準優勝を果たすという、クラブ史に残る栄光を手にしました。
中でもソン・フンミンの存在感は群を抜いており、アジア人初のプレミアリーグ得点王を獲得。現地サポーターメディア「スパーズウェブ」などでは、クラブのレジェンドだけが名を連ねる「殿堂入り」の最有力候補として頻繁に議論がなされています。
ソン・フンミンがチームを離れてから1年以上が経過しましたが、トッテナムは多大な資金補強を行った現在でも、未だに彼の抜けた穴を埋める絶対的なフィニッシャーを見つけられずにいます。また、ポチェッティーノ氏の退任以降、チームをふたたびリーグトップ争いやCL決勝に導ける器を持った指揮官も現れていません。英国現地で「ポチェッティーノ氏が復帰していたなら、ソン・フンミンも戻ってきていたかもしれない」という仮定の話が持ち上がること自体が、両者が築いた偉大な時代の功績と、深刻な現体制への懸念を証明しています。


