脱走から10日で凱旋した「ヌック」、今度は甘いチョコパンで会える
4月初旬、大田(テジョン)は一匹のオオカミの行方にすべての注目が集まっていました。大田オーワールドのサファリの柵の下を掘って脱走したオスのオオカミ「ヌック」がその主人公です。
10日間にわたる大規模な捜索の末、ヌックが無事に生け捕りされたというニュースが伝わると、大田市民は安堵のため息とともに熱烈な歓声を送りました。ところが、このドラマチックな帰還が、大田の「パン巡り」マップまで塗り替えています。
ヌックの脱走、危機から大田の勝利の妖精へ

ヌックは2024年生まれで、まだ2歳になったばかりの血気盛んなオオカミです。兄弟の中で9番目だったことから「ヌック(韓国語で9を意味する『ク』に由来)」という親しみやすい名前が付けられました。4月8日、本能に導かれたのかサファリの柵の下を掘って脱走し、大田の宝文山(ポムンサン)一帯を駆け回りました。脱走期間中に釣り針を飲み込む事故があり心配もされましたが、4月17日にオーワールド近隣で無事に生け捕りされ、家に戻りました。
ここで面白いのは、ヌックが戻ってくるとすぐに、大田を本拠地とするスポーツチームのハンファ・イーグルスと大田ハナシチズンが揃って勝利を収めたという事実です。これを受けて市民は、ヌックが勝利の運を運んできたとして「大田の勝利の妖精」というニックネームを付けました。こうしたヌックの人気は自然と地域経済や文化へと広がり、その頂点が今回発売された「ヌックパン」です。
ヌックパン誕生記

大田の3大パン屋の一つに数えられる「ハレハレ」は、ヌックの無事な帰還を誰よりも喜びました。もともとオーワールドとのコラボレーションが予定されていましたが、ヌックの脱走で白紙になる危機だったからです。ハレハレはヌックが戻るやいなや、素早くヌックパンを披露しました。
このパンは、ヌックの愛らしい外見をそのまま再現しているのが特徴です。丸いパンの上にオオカミの尖った耳と鼻を形作り、チョコペンでヌック特有のひょうきんな表情を描き入れました。パンの中には甘いチョコクリームがたっぷり詰まっており、怖いオオカミではなく、甘いヌックのイメージを完成させました。
発売から2日で準備した分が午前中に完売するほどの人気を集めており、現在は大田旅行の必須コースとして急浮上しています。
地域愛が生んだ新しい名物

ヌックパンの人気は、単なるブームとして片付けられるものではありません。大田市民が10日間、ヌックを心配し応援したその温かい心が、パンという親しみやすい媒体を通じて表れたものだと言えます。特に大田はパンに本気な都市であるため、より一層愛着が湧くのです。ハレハレ側は、ヌックが脱走期間中に苦労したことを労い、無事な帰還を願ってくれた市民に楽しさを提供するためにこの商品を企画したと明かしました。
このような「ファンシューマー(ファン+コンシューマー)」文化は、地域共生の良い例となっています。大田を訪れる旅行客には「聖心堂(ソンシムダン)」以外にも楽しめる新しい面白さを提供し、地域の動物園に対する関心を喚起させるポジティブな効果を生んでいます。ヌックのおかげで大田がより一層活気あふれる都市に感じられるという声が絶えません。
今週末、大田旅行を計画されているなら「ヌックコース」をおすすめします。まずは大田オーワールドを訪れ、健康を回復し、牛肉や鶏肉を食べて落ち着きを取り戻した本物のヌックに会ってみてください。ヌックの霊験あらたかな勝利の気運をもらった後は、ハレハレ道安(トアン)店に移動してヌックパンを味わい、旅行を締めくくるのです。ただし、ヌックパンは現在、1日の生産量が限られているため、開店待ち(オープンラン)が必須です。

