
W杯で惜しくも優勝を逃し、今シーズンを「無冠」で終えたキリアン・エムバペ(レアル・マドリード)。しかし、世界最高峰の栄誉である「バロンドール(Ballon d’Or)」受賞レースにおいては、むしろ彼が最も有利かもしれないという驚きの分析が浮上し、世界中のサッカーファンの関心を集めている。
フランスの有力スポーツ紙「レキップ(L’Équipe)」は21日(現地時間)、読者を対象に実施した2026年バロンドール受賞者予想アンケートの結果を公開した。3万5000人以上が投票に参加した中、エムバペが約32%という圧倒的な支持を集めて堂々の1位を獲得。W杯を制したスペイン代表の主将であり、大会最優秀選手(ゴールデンボール)に輝いたロドリ(マンチェスター・シティ)は16%にとどまり、2位となった。
スペインが2026年FIFA北中米ワールドカップ(W杯)の頂点に立ち、ロドリがゴールデンボールを受賞した経緯を考えると、このアンケート結果は少々意外にも映る。なぜなら、バロンドール選考において最も重視されるファクターの一つが、チームを栄冠に導いた「優勝(タイトル)」だからである。
これほどまでの大差がついた背景には、エムバペが今シーズン見せた「個人パフォーマンス」が、他を圧倒するほど際立っていたという事実がある。
エムバペは今大会、3位決定戦を含む全8試合に出場して10ゴールをマーク。2022年カタール大会に続き、2大会連続となる得点王(ゴールデンブーツ)に輝いた。特筆すべきは、今大会で彼が刻んだW杯通算22ゴールという驚異的な金字塔だ。これにより、リオネル・メッシ(インテル・マイアミ、21ゴール)を追い抜き、W杯歴代最多得点記録の単独首位に躍り出た。まだ20代という若さのエムバペだけに、今回が事実上のラストW杯となったメッシとの差を、今後さらに広げていくことは確実視されている。

さらにエムバペの快進撃はクラブシーンでも止まらない。スペインのラ・リーガで25ゴールを挙げて得点王を獲得しただけでなく、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)でも15ゴールを叩き出して得点王のタイトルを奪取。これにより、同一シーズンに「国内リーグ」「チャンピオンズリーグ」「ワールドカップ」の3大大会すべてで得点王に輝くという、サッカー史上初となる「ハットトリック得点王」の偉業を達成したのだ。
レキップ紙は「W杯の閉幕により、バロンドール争いはさらに複雑さを増した。スペインを優勝に導いたロドリやラミン・ヤマル(バルセロナ)らが有利なポジションを確保したかに見えたが、エムバペが驚異的な得点力で大会を支配したことで、受賞レースの勢力図は再び混沌とし始めている」と分析している。
もっとも、今シーズン「チームとしての主要タイトルを一つも獲得できなかった」という事実は、ライバルたちと比較した際、依然としてエムバペの致命的な弱点となり得る。また、ハリー・ケイン(バイエルン・ミュンヘン)や、今なお絶大な影響力を持つメッシらが、完全に受賞争いから脱落したと決めてかかるのも時期尚早だろう。
一方で、エムバペに有利に働くもう一つの要因として「票の分散」が挙げられる。ロドリがスペインのW杯制覇の立役者であることは誰もが認める事実だが、超新星ヤマルら同僚たちの活躍も目覚ましく、スペイン代表メンバー間で投票が分散してしまう可能性は極めて高いのだ。
最終的に、今回のバロンドール争いは「チームを栄冠に導いた勝者」と「史上類を見ない圧倒的な個人スタッツを残した超人」の一騎打ちとなる公算が高い。チームが無冠に終わったことはエムバペにとって痛手だが、それでも今シーズン彼がピッチ上で見せたパフォーマンスは、あまりにも眩しく、そして強烈だった。



