
マレーシアプロサッカー界の「絶対王者」として君臨するジョホール・ダルル・タクジム(JDT)が、リーグ戦109試合連続無敗という前人未踏の世界記録達成を目前に控えています。
英ガーディアン紙の19日の報道によると、JDTは来る21日に行われるクチンとの2026-2027マレーシア・スーパーリーグ開幕戦で敗れなければ、リーグ109試合連続無敗という新たな歴史的記録を打ち立てることになります。
現在、JDTは108試合連続無敗という驚異的な記録を維持しています。この大記録は2021年4月から積み上げられてきたものです。もし次戦のクチン戦で引き分け以上の結果を残せば、コートジボワールの強豪ASECミモザが保持していた108試合連続無敗記録を32年ぶりに塗り替えることになります。
JDTを率いるのは、かつてイングランド・プレミアリーグ(EPL)のワトフォードで指揮を執ったスペイン出身のシスコ・ムニョス監督です。昨夏に就任したムニョス監督は、「サッカーの世界において、1試合も負けないということは極めて困難なこと」と語りつつ、「あと1試合を残すのみです。成功と挫折の分かれ目は紙一重ですが、我々は無敗記録で歴史に名を刻む、その瞬間に非常に近づいています」と意気込みを語りました。
JDTはマレーシア王室の全面的なバックアップを受け、長年にわたり国内リーグを支配し続けてきました。2013年にマレーシアのトゥンク・イスマイル・イブニ・スルタン・イブラヒム皇太子がクラブを買収して以降、大規模な投資が行われ、それ以来JDTはマレーシアリーグで12シーズン連続の頂点という圧倒的な強さを誇っています。
クラブは競技力のみならず、施設や運営面においても欧州の名門クラブをモデルに成長してきました。最高経営責任者(CEO)にはリヴァプール出身のルイス・ガルシア氏が就任し、ユースアカデミーの指揮はバレンシア出身のハビエル・リベラ氏が執っています。ムニョス監督自身も、JDTのトレーニング環境はEPLのクラブと比較しても遜色ない高いレベルにあると評価しています。
ムニョス監督は、「必要な設備や最新の医療・トレーニング環境があれば、オーナーは即座に支援してくれます。コスト削減を常に意識しなければならない他のクラブとは異なり、このクラブでは常に最高レベルの環境を目指しているのです」と、その恵まれた環境を強調しました。
国内を完全に平定したJDTの次なる目標は、AFCチャンピオンズリーグのタイトル獲得です。昨シーズンはマレーシアのクラブ史上最高位となるベスト8進出を果たしましたが、イヴァン・トニーやリヤド・マフレズらを擁するサウジアラビアの強豪アル・アハリに敗れ、惜しくも敗退しました。
アジアという舞台特有の過酷な環境についても、ムニョス監督は言及しています。日本への遠征を例に挙げ、「往復の移動距離は約6000マイルにも達します。イングランドなら飛行機で1時間半あれば戻れる距離でも、アジアでは10時間や12時間かかることも珍しくありません」と、欧州との環境の違いを説明しました。
また、JDTにはマレーシアサッカー界の至宝、アリフ・アイマン(24)も所属しています。「アジアのメッシ」と称されるアイマンは、先日のチェルシーとの親善試合でもゴールを挙げ、3-3の引き分けに貢献するなど世界的な注目を集めています。
ムニョス監督はアイマンを、自身がワトフォードで指導したジョアン・ペドロに重ね合わせ、「10分見れば、彼が他の選手とは違う格別な才能を持っていることは一目瞭然です。アイマンは試合の流れを一変させる特別な力を持っています」と高く評価しています。
欧州を離れ、未知のアジアで新たな挑戦を選んだムニョス監督とJDT。あと1試合を持ちこたえれば、彼らは世界のサッカー史に永遠に刻まれる金字塔を打ち立てることになります。


