メッツでの挫折からタンパベイの英雄へ

ニューヨーク・メッツのファンにとっては、心中穏やかではない状況が続いている。かつて「エース候補」として大きな期待を寄せられながら、結果を残せずにチームを去ったフレディ・ペラルタが、タンパベイ・レイズのポストシーズンで輝かしい活躍を見せているからだ。
ペラルタは14日、米フロリダ州トロピカーナ・フィールドで行われたクリーブランドとのアメリカンリーグ優勝決定シリーズ(ALCS)第2戦に先発登板した。6回を投げ4被安打無失点という圧巻の投球を披露し、チームを3-1の勝利へと導いた。この白星により、タンパベイはシリーズを1勝1敗のタイに戻すことに成功した。
メッツ時代を襲った深刻なスランプ
第1戦に敗れ、崖っぷちに立たされていたタンパベイにとって、この第2戦は負けられない一戦だった。ペラルタは重圧のかかるマウンドで見事なパフォーマンスを見せ、ポストシーズンにおける自己最高の投球を展開した。ミルウォーキー時代にもポストシーズンでの登板経験はあったが、これほどの安定感は当時を見ても際立っている。
しかし、数ヶ月前までの彼はどん底の状態にあった。昨年までミルウォーキー・ブルワーズで2度のオールスターに選出されるなど、トップクラスの先発投手として名を馳せていたペラルタは、昨冬メッツへ移籍。メッツ側は将来を嘱望される有望株2人を差し出してまで彼を獲得し、エースとしての役割を期待していた。
ところが、メッツでの成績は22試合で5勝9敗、防御率4.99と期待を裏切る内容に終わった。スーパースター選手の不振も重なり、メッツは失意のシーズンを過ごすこととなり、ペラルタはその象徴的な「失敗補強」として扱われていた。結局、8月のトレード期限を前に、メッツはわずか半年足らずで彼をタンパベイへと放出したのである。
タンパベイでの劇的な復調と技術的適応

移籍後のペラルタは、まるで別人かのような変貌を遂げた。ミルウォーキー時代の本来の姿を取り戻し、レギュラーシーズン終了までの10試合で防御率3.25を記録。特に9月には5試合で4勝0敗、防御率0.96という驚異的な数字を残し、アメリカンリーグの月間最優秀投手に選出されるほどの活躍を見せた。
なぜこれほどまでに劇的な回復を遂げたのか。その背景には、タンパベイのコーチ陣による緻密な調整があった。リリースポイントの微修正や、チェンジアップの投球割合を増やすといったピッチングデザインの刷新が奏功した形だ。メッツ時代には解決の糸口が見えなかった課題が、新天地では見事に解消されたのである。
ペラルタ自身も「ニューヨークでも多くの試行錯誤を繰り返したが、ここに来てようやく正しい調整ができた」と振り返っている。メッツのデビッド・スターンズ社長は「タンパベイが我々にできなかったことを成し遂げた」と悔しさを隠せない様子だ。
ペラルタはニューヨーク・ヤンキースとのディビジョンシリーズ第2戦でも4.2回1失点と試合を作るなど、秋の舞台で存在感を放ち続けている。かつてメッツで苦しんだ「エース」が、今やワールドシリーズ進出を狙うチームの救世主として躍動している事実は、メッツファンにとってあまりにほろ苦い秋の光景となっている。


