
ラ・リーガのサラリーキャップ制度と現状
サッカー韓国代表MFイ・ガンイン(25)が所属するアトレティコ・マドリード(ATマドリード)が、スペイン・ラ・リーガにおける「3強」の地位を強固なものにしています。11日にラ・リーガ事務局が発表した2026~2027シーズンのクラブ別サラリーキャップ(選手団人件費上限)において、その圧倒的な財政基盤が明らかになりました。
今シーズンのラ・リーガ全20クラブのサラリーキャップ総額は31億967万ユーロに達し、前年比で4億ユーロ近く増加しました。このサラリーキャップ制度(LCPD)は、クラブの予想総収入から運営費や負債返済額などを差し引いて算出されるもので、「稼いだ分だけ使う」という健全経営を目的とした安全装置です。かつてバルセロナが選手登録で苦戦したのも、この厳格な規定によるものです。
スペインリーグに見る「収益創出能力」の重要性
北米プロスポーツリーグに見られるような公平性重視のサラリーキャップとは異なり、ラ・リーガの制度はクラブの「収益創出能力」を重視しています。そのため、上位クラブの支配力が強く、番狂わせが起きにくい構造となっています。今シーズンの発表によると、レアル・マドリードが8億3278万ユーロで圧倒的1位を維持。次いでバルセロナが5億8276万ユーロ、そしてATマドリードが3億6128万ユーロで続き、確固たるビッグ3を形成しています。特にレアル・マドリードは前年比で7000万ユーロの上限増額を果たしており、財政難が叫ばれるセビージャ(2016万ユーロ)と比較すると、実に41倍もの経済格差が存在します。
イ・ガンイン獲得の戦略的価値と経済効果
この経済環境の中、アトレティコ・マドリードが今夏パリ・サンジェルマンからイ・ガンインを獲得した背景には、明確な経営戦略が存在します。クラブはイ・ガンインに対し、エースの象徴である背番号「7番」を託しました。これは単なる戦力補強にとどまらず、アジア市場でのスポンサーシップ拡大やグローバル放映権収入の最大化を狙った布石と見られています。
事実、「イ・ガンイン効果」は即座に現れています。加入直後に販売されたユニフォームは3万枚が即座に品切れとなる異例の事態となり、クラブ内部では、今シーズンのイ・ガンインのユニフォーム販売数が前任の7番であるグリーズマンの最後のシーズンと比較して、5倍以上に達すると見込んでいます。この成功は、選手の技術面だけでなく、スター選手を起点としたマーケティングがクラブの収益力を大きく左右する現代サッカー界の縮図と言えるでしょう。


