
イタリアのプロサッカーリーグ(セリエA)のASローマを応援するサポーターたちが、スタジアム内で集団でファシスト式の敬礼を行ったとして、最長5年間に及ぶスタジアムへの入場禁止処分を受けました。
スタディオ・オリンピコで起きたファシスト敬礼騒動
ロイター通信やイタリアの地元メディアが報じたところによると、ローマ警察はローマのホームスタジアムであるスタディオ・オリンピコで行われたASローマ対アタランタの試合において、いわゆる「ローマ式敬礼」を行ったASローマのサポーター16人に対し、スタジアムへの立ち入り禁止処分を下しました。処分期間は1年から最大5年となっています。
ゴール裏「クルヴァ・スード」での規律違反行為
問題となった行為は、熱狂的なサポーター(ウルトラス)が集まることで知られるゴール裏の観客席「クルヴァ・スード(南側スタンド)」で発生しました。警察の調査によると、処分対象となったサポーターたちは集団で片腕を斜め前方に突き出すファシスト式の敬礼を行い、一部の者はナチスを連想させる「über alles(すべてを超えて)」というドイツ語のフレーズが書かれたTシャツを着用していました。さらに、現地報道では一部のサポーターがファシストを称えるシュプレヒコールを上げていたことも確認されています。
最大5年の入場禁止と警察への出頭義務
処分を受けたサポーターの年齢は19歳から42歳までと幅広く、今回の立ち入り禁止措置はイタリア国内のすべてのスタジアムだけでなく、ASローマが海外で行うアウェイ試合やイタリア代表チームの試合にも適用されます。また、このうち特に悪質と判断された4人に対しては、ローマの試合が開催される時間帯に警察署へ出頭することを義務付ける追加措置も下されました。
前科持ちのサポーターも、イタリア「マンチーノ法」違反の疑い
処分の重さは、各個人の過去の経歴を考慮して決定されました。地元警察によると、処分対象者の中には武器の不法所持、脅迫、器物損壊、集団乱闘、密輸などの犯罪歴を持つ者が含まれていました。最も重い5年間の入場禁止処分を受けた人物は、2022年にも同様のスタジアム立ち入り禁止処分を受けた前歴があったことが分かっています。今回の行為に関与した16人全員が、人種的憎悪や差別、暴力を扇動する行為を規制するイタリアの「マンチーノ法」に違反した疑いで、司法当局に通報されました。
イタリアサッカー界と極右ウルトラスの根深い問題
イタリアにおいて、ファシスト式の敬礼そのものが法的に一律で違法とされているわけではありません。イタリアの裁判所は、その行為が過去のファシスト政党の再建を扇動する目的であったり、明確に人種的憎悪を助長したりするものであるかどうかを個別に判断しています。しかしながら、サッカースタジアムにおいては、極右的な傾向を持つ一部の「ウルトラス」と呼ばれる熱狂的サポーターグループが、ファシズムの象徴や差別的なスローガンを政治的主張や威嚇のために悪用するケースが絶えず、リーグ全体の深刻なイメージ低下を招いてきました。
劇的勝利の裏で冷や水を浴びせられたクラブ
この事件が発生した試合自体は、ASローマが試合終盤にマリオ・エルモソ選手とマティアス・ソウレ選手による連続ゴールで、強豪アタランタを2-1で下すという劇的な逆転勝利を収めていました。しかし、ピッチ上での選手たちの素晴らしいパフォーマンスとは裏腹に、観客席で発生した一部サポーターの極端な思想行動が大規模な警察沙汰へと発展し、クラブにとっても後味の悪い結果を招く形となりました。


