
イングランド・プロサッカーのチェルシーが、ゴールキーパーのポジションで勝負に出ました。20代の有望株育成を重視してきたこれまでのクラブ方針から一歩踏み出し、2022年カタールW杯優勝の立役者であるゴールキーパー、エミリアーノ・マルティネス(33)の獲得を決めました。
チェルシーは30日、アストン・ヴィラで長年君臨してきたマルティネスと3年契約を結んだと発表しました。クラブ側は移籍金を非公開としていますが、英メディアは推定約750万ポンドと報じています。マルティネスは2020年にアーセナルからアストン・ヴィラへ移籍した後、6年間で公式戦256試合に出場し、世界屈指の守護神としての地位を確立してきました。
今回の電撃獲得は、チェルシーのシャビ・アロンソ監督が「ゴールキーパーの不安定な状況をこれ以上放置できない」と判断した結果と言えます。
チェルシーは2018年にティボ・クルトゥワをレアル・マドリードへ放出して以来、確固たる正ゴールキーパーをなかなか見つけられずに苦心してきました。ケパ・アリサバラガをはじめ多くの候補を試用し、2023年にはブライトンからロベルト・サンチェスを2500万ポンドで獲得しましたが、サンチェスもまた「究極の答え」にはなりませんでした。優れたセービング能力こそ見せていたものの、足元の技術に不安があり、試合ごとに波があることが課題視されていました。
決定的な転換点となったのは今シーズンの開幕戦でした。チェルシーはフラムを3-2で下したものの、サンチェスは2失点の過程で痛恨のミスを犯しました。特に、ボールを運んでいる最中にそのまま相手へ渡してコーナーキックを献上するなど、不安定なパフォーマンスが際立ちました。
ガーディアン紙は29日、アロンソ監督がこの試合を機に、タイトル争いのためには即戦力の新しい守護神が必要だと確信したと報じています。その後、マルティネス側がチェルシーへ移籍の意向を伝えたことで、交渉は一気に加速しました。
チェルシーにはすでに21歳の有望株、ベルギー人ゴールキーパーのマイク・ペンダースが控えています。クラブは2024年にヘンクからペンダースを獲得しており、長期的な視点では世界トップクラスに成長する逸材と評価しています。にもかかわらずマルティネスを招聘したのは、未来の育成よりも「目先の勝利」を掴むための、クラブとしての重大な決断です。
マルティネスはアルゼンチン代表の守護神として2022年カタールW杯優勝を牽引し、2021年と2024年のコパ・アメリカでも頂点に立ちました。さらに2023年と2024年には、世界最高のゴールキーパーに贈られるヤシン・トロフィーを連続受賞。昨シーズンはアストン・ヴィラのヨーロッパリーグ制覇にも大きく貢献しています。
新天地への移籍を終えたマルティネスは、「チェルシーに来ることは、私と家族にとって迷う必要のない簡単な決断でした」とコメント。「私は何をするにしても勝利に執着する人間です。優勝を目指すクラブであるチェルシーのカラーと、自分は非常によく合っていると感じています」と力強く語りました。


