
米プロ野球メジャーリーグ(MLB)において、今シーズンの1試合(9イニング基準)あたりの平均試合時間が、昨シーズンに比べて長期化していることが明らかになりました。
米スポーツ専門局「ESPN」がAP通信の報道を引用して伝えたところによると、今シーズンのMLBにおける平均試合時間は、前年より3分43秒増加して2時間42分を記録しました。
試合時間増加の要因:新たに導入された「ABSチャレンジ制度」
試合時間が再び増加傾向に転じた大きな原因の一つとして、今シーズンから新たに導入された「ABS(自動投球判定システム)チャレンジ制度」が挙げられています。
実際に、増加した3分43秒のうち、約1分1秒(61秒)がこのABSチャレンジ制度の処理に費やされた時間であることが判明しています。つまり、全体の増加分のうち約3割近くが、判定の検証作業によって発生していることになります。
MLBと韓国プロ野球(KBO)におけるABS運用の違い
MLBで運用されているチャレンジ制度は、基本的には人間の審判がストライク・ボールを判定し、打者、捕手、または投手がその判定に異議を唱えた場合にのみ、ABSによるデータ判定を確認する仕組みです。選手やベンチが判定の覆りを求めて権利を行使する、いわば「ビデオ判定」の投球版と言えます。
一方、韓国プロ野球(KBO)では、すべての投球に対してABSがリアルタイムで判定を下し、主審はイヤホンを通じてその結果を受け取って宣告する方式を採用しています。このように、同じテクノロジーを用いながらも、運用のプロセスにおいて両リーグで異なるアプローチが取られている点も、試合時間の差に影響を与えているとみられます。
劇的な短縮から微増へ:メジャーリーグにおける試合時間の変遷
MLBの平均試合時間は、2016年に初めて3時間を突破しました。その後も長期化は進み、2021年には過去最長となる3時間10分にまで達した経緯があります。試合の長期化は、ファンのエンゲージメント低下やテレビ中継の枠組みにおいて大きな課題となっていました。
これに対し、MLB事務局は様々な改革を行ってきました。2022年にはサイン伝達機器「ピッチコム(PitchCom)」の導入により、3時間4分へと短縮。さらに翌2023年には、投手の投球間隔を厳格に制限する「ピッチクロック(Pitch Clock)」を導入したことで、平均試合時間は「2時間40分」へと劇的に短縮されました。その後、2024年は2時間36分、昨年は2時間38分と、2時間40分前後を維持していましたが、今シーズンはABSチャレンジの稼働によって再び増加に転じる形となりました。
アジア圏リーグでの動向と今後の展望
同様にABSとピッチクロックの両方を導入している韓国プロ野球(KBO)の状況を見ると、2026シーズン(5月28日時点)の正規イニング平均試合時間は3時間6分となっており、前年同期比で4分増加しています。アジア圏でも、データ判定の正確性と試合進行のスムーズさをいかに両立させるかが共通の課題となっています。
機械による正確な判定は、判定の公平性を担保するために不可欠な要素となりつつあります。しかし、システムの運用方法やチャレンジにかかる時間など、ファンを退屈させないための現場でのオペレーション改善が今後の重要な鍵を握っています。


