
キリアン・エムバペがオンラインインタビュー内で行った発言が波紋を広げ、スペインプロサッカーのラ・リーガおよびレアル・マドリードが公式に謝罪する事態へと発展しました。中国の放送局によるラ・リーガ中継の打ち切りや、現地企業によるスポンサー撤退が相次いでおり、巨大な消費市場を持つ中国の影響力が国際サッカー界を直撃しています。
疑惑の発端となったインタビューでの失言
今回の議論は、エムバペがあるオンラインインタビューの中で、自身を中国の旧指導者である毛沢東になぞらえたインターネットミームについて言及したことに端を発しています。この動画の中でエムバペはその人物を「中国の独裁者」と表現しました。この発言が中国国内において、歴史的指導者に対する侮辱であると受け止められ、インターネット上で批判が急増しました。
相次ぐ謝罪と止まらぬ波紋
エムバペ本人は27日、フランス語、中国語、英語で謝罪文を公開。「軽率な発言であり、中国と全世界の中国人に傷を与えたことを深く反省している」と陳謝しました。また、ラ・リーガのハビエル・テバス会長も同様に中国のファンへ遺憾の意を表明しています。しかし、これらの謝罪後も事態の沈静化には至っていません。

中国企業によるボイコットと経済的制約
中国国内では、飲料メーカーの東風、乳製品企業の蒙牛(メンニウ)、上海ミルクグラウンドなどがエムバペとの協力関係中断を発表しました。加えて、中国メディアグループ(CMG)がラ・リーガの中継停止を決定。微博(ウェイボー)や小紅書(シャオホンシュー)といった中国の主要オンラインプラットフォームでも、エムバペのアカウントに対する制限措置が取られました。
レアル・マドリードが謝罪に至った背景
レアル・マドリードは28日、「エムバペの発言により中国国民に不快な思いをさせたことを深くお詫びする」との声明を発表しました。同クラブは、中国の歴史や文化を尊重する姿勢を強調しましたが、その背後には無視できない商業的リスクが存在します。
ラ・リーガの2024-2025シーズン海外中継権収益は7億4800万ユーロに達し、その過半数を中国と米国が占めています。また、レアル・マドリードにおいてもユニフォーム等のグッズ販売の10〜15%を中国市場が支えており、ハイセンスなどの中国企業が主要スポンサーに名を連ねています。中国市場における反発は、クラブの収益基盤を直接脅かす経営問題へと直結しているのです。

過去の事例とスポーツ界の現実
スポーツ界において中国市場が強大な力を持った例は今回が初めてではありません。2019年には米プロバスケットボール(NBA)で、当時のヒューストン・ロケッツGMによるSNS投稿を巡り、中国国営放送による中継の中断やスポンサー撤退が相次ぎました。世界的なスポーツリーグといえども、中国市場の圧力に対しては抗うことが困難であるという現実が、改めて浮き彫りとなっています。今後は、信頼回復と商業的損失の最小化がレアル・マドリードにとって喫緊の課題となるでしょう。


