
ソン・フンミンがイングランド・プレミアリーグ(PL)の舞台を去り、アメリカ・メジャーリーグサッカー(MLS)へ向かった理由を自ら明かした。
最初からアメリカ行きを熱望していたわけではなかった。それどころか、LAFCからの関心を知った当初は「自分はもうMLSに行くような年齢なのか」と、困惑した胸の内を打ち明けている。
ソン・フンミンは4日(韓国時間)、ポッドキャスト「ザ・レイト・ラン(The Late Run)」に出演。ロサンゼルスFC(LAFC)への移籍の舞台裏から、チームメイトとの絆、トッテナム時代の思い出、さらにはリオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドに対する自身の考えまで、多岐にわたるトピックを語った。
その中でも、やはり多くのファンの注目を集めたのはLAFC移籍にまつわる秘話だった。
LAFCは2025年8月7日、ソン・フンミンの獲得を公式発表した。トッテナムで10年にわたり輝かしい伝説を築き上げたソン・フンミンは、LAFCとの契約を経て選手生活の新たな一章をスタートさせた。契約は2027年までで、さらに2028年および2029年までの延長オプションも付随している。

当時、ソン・フンミンは世界的なスターたちが名を連ねるMLSの象徴的な「指定選手(Designated Player)」としてLAFCに合流した。
MLSではクラブの無計画な支出を防ぐため、選手団のサラリー予算に厳しい制限を設けている。
2026シーズン、選手一人あたりの最大サラリー予算負担額は80万3125ドルだが、「指定選手制度」を活用すれば、この制限を超えた契約が可能となる。現在は1クラブにつき最大3人までこの枠が与えられている。
もちろん、ソン・フンミンもまたMLS内でトップクラスの年俸を受け取る選手の一人だ。
MLS選手協会が公開した2026シーズンの年俸資料によれば、ソン・フンミンの保証年俸は1115万2852ドル(約150億ウォン相当)に達し、リオネル・メッシに次ぐMLS全体2位の数字となっている。

しかし、彼がLAFCを選んだ理由は、決して単なる高額年俸だけではない。
ポッドキャストで彼は当時の状況をこう振り返る。「ロンドンでエージェントからLAFCの関心を聞いたとき、『自分はもうMLSに行くような年齢なのか』と疑念を抱いた。正直、絶対に行く気はなかった」
当初は眼中にすらなかったアメリカ行きだったが、徐々に心境に変化が訪れる。
「トッテナムとの契約が残り1年となったとき、自分には新たな挑戦が必要だと確信した。エージェントからLAFCと一度話してみるよう強く勧められ、Zoomでビデオ通話をしたんだ」
そして、彼を突き動かしたのはLAFC側の変わらぬ情熱だった。
「LAFCが長い期間、ずっと自分を追いかけてくれていたことを知った。彼らの真摯な姿勢と情熱に心を打たれ、移籍を決断した」と語った。
つまり、ソン・フンミンのアメリカ挑戦は計画的な移籍ではなく、トッテナムでの10年を終えるタイミングで自問自答を繰り返した末の、必然的な決断だったと言える。

実際にMLSの舞台を踏んでからは、彼の認識はさらにポジティブなものへと変わった。
「移籍前は正直、実情がわからなかった。だが、毎試合スタジアムを埋め尽くすファンの熱量を見て、純粋に驚き、嬉しかった」と、現地の雰囲気に満足感をにじませた。
さらに、2026年北中米ワールドカップを見据え、リーグの成長性についても言及。「大会以降、この熱気をいかに継続させるかが、選手とリーグにとっての新たな使命だ」とリーダーとしての自覚も示した。
合流後の適応スピードも凄まじい。2025シーズンはリーグとプレーオフ合わせて13試合で12ゴール4アシストを記録。彼が加入してからLAFCは9勝2敗4分けという驚異的な成績を残している。

結論として、ソン・フンミンの米国行きを単なる「晩年の金稼ぎ」と断じることは到底できない。
確かに年俸は魅力的な条件の一つだったかもしれないが、彼が自ら語った通り、最も決定的な要因は「新たな挑戦」を求める自身の渇望と、LAFCが示し続けた絶え間ない熱意であった。
PLで10年間トップを走り抜けたレジェンドは、今、MLSで新たな伝説を刻んでいる。最初は「絶対に行くことはない」と否定していたはずのその場所が、いつの間にか彼の新たな魂の拠点となっていたのである。


