② 最弱のグループB

他チームの戦力も高くなく
移動距離や最高の対戦運に恵まれ
グループリーグ突破に希望の光
ワールドカップの開催国は、常にホームファンの熱烈な応援を背に受けるものだ。そして、これが開催国をグループリーグの先へと導く原動力にもなる。
もちろん、これには開催国がある程度の戦力を備えているという前提が必要だ。2010年南アフリカ大会、2022年カタール大会は、一方的な応援だけでは補いきれない開催国の力不足を如実に示した代表的な大会である。
2026北中米ワールドカップは、アメリカ、メキシコ、そしてカナダの北中米3カ国が共同開催する。アメリカとメキシコはグループリーグ突破が有力視されており、多くの人々の視線はカナダに注がれている。
カナダはこれまでワールドカップ本大会で1勝どころか、勝ち点1すら獲得したことがない。初めて参加した1986年メキシコ大会、そして前回の2022年カタール大会のいずれも3戦全敗でグループリーグを突破できなかった。
カナダの戦力は今回も決して強いとは言えない。ジョナサン・デイビッド(ユヴェントス)、アルフォンソ・デイヴィス(バイエルン・ミュンヘン)、カイル・ラリン(サウサンプトン)など、欧州ビッグリーグでプレーする選手が複数いるものの、圧倒的ではない。それでもカナダのグループリーグ突破の可能性は、過去の大会と比べると決して低くはない。これはカナダが開催国としてトップシードを獲得し、同じグループBに編成された他国の戦力もまた、強豪とは言えないからだ。
カナダはスイス、カタール、ボスニア・ヘルツェゴビナと同じグループに入った。6大会連続でワールドカップ本大会出場を果たしたスイスが最も有力な1位候補だが、残りの2チームはカナダと対等な戦力と分類できる。
カタールは自国開催だった前回大会で勝ち点1も得られず、3戦全敗で敗退するという屈辱を味わった。同じく3戦全敗で敗退したカナダの全体順位は31位だったが、カナダよりも下の最下位がまさにカタールだった。大半が自国リーグの選手で構成されており、組織力の面では高い評価を与えられるが、それだけだ。ワールドカップ最終予選でもグループAの4位で辛うじてプレーオフに進出し、格下のオマーンと0-0で引き分けるなど、苦戦の末にようやく本大会のチケットを手にした。
ボスニア・ヘルツェゴビナは欧州予選でプレーオフまで戦い、本大会に合流した。彼らが破って勝ち上がった相手が他ならぬイタリアであることを考えると、戦力を決して侮ることはできない。ボスニア・ヘルツェゴビナの最大の弱点は経験だ。12年ぶりにワールドカップ本大会に戻ってきたため、選手団のほとんどがワールドカップ経験ゼロである。そのため、エディン・ジェコ(シャルケ04)やセアド・コラシナツ(アタランタ)といったベテランの役割が非常に重要となる。
グループAのメキシコが「高地」の利点を持つならば、カナダが持つ利点は「移動距離」だ。カナダはグループBの4カ国中、唯一カナダ国内だけで試合を行う。ボスニア・ヘルツェゴビナとの第1戦はトロント、そしてカタール・スイスと戦う第2・3戦はバンクーバーで行われる。カタールの場合、サンフランシスコ-バンクーバー-シアトルと試合会場が毎回変わり、ボスニア・ヘルツェゴビナもトロント-ロサンゼルス-シアトルと、試合のために毎回長距離を移動しなければならない。試合がカナダとアメリカ西部に集中しているカタールはまだ状況が良い方だが、ボスニア・ヘルツェゴビナは総移動距離が5000kmを超える。
カナダはグループB最強と目されるスイスとグループリーグ最終戦で対戦するという対戦運にも恵まれた。もしカナダがグループ1位を確保すれば、決勝トーナメントまでバンクーバーで戦う日程が確定し、最高の結果を迎えることになる。もしカナダがグループ2位となり、韓国がグループAの2位となれば、ラウンド32で激突することになる。


