
イングランド・プレミアリーグ(EPL)のトップが、ワールドカップの商業権の持分売却を強行しようとし、激しい反発に直面した国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長に対し、「自爆ボタンを押した」と痛烈な批判を浴びせた。
米スポーツ専門チャンネルESPNは19日、EPLのリチャード・マスターズCEOが、最近のFIFAをめぐる騒動について「FIFA自らが招いた問題だ」と厳しく断罪したと報じた。
マスターズCEOはこの日、BBCとのインタビューで「これは自業自得の傷だ」とした上で、「FIFAが自ら自爆ボタンを押し、その結果として今、解決策を見つけなければならない窮地に追い込まれている」と力説した。
今回の騒動は、インファンティーノ会長がワールドカップをはじめとするFIFA主催大会の商業権を別法人へ移管し、外部の民間資本を呼び込む計画を推進したことで火がついた。FIFAは「FIFAフォワード・エンタープライズ(FFE)」なる別会社を設立し、放送・スポンサーシップ・チケット・ライセンス等の商業権と運営を委託、その一部持分を民間投資家に売却する構想を描いていた。しかし、欧州サッカー連盟(UEFA)をはじめとするサッカー界からの猛反発を受け、計画は最終的に撤回を余儀なくされた。
マスターズCEOは、FIFAが非営利組織であることを強調し、ワールドカップの一部を事実上、民間資本の手に委ねるという発想そのものが本末転倒だと主張。「FIFAがワールドカップの持分売却を検討するなど論外だ」とし、「FIFAは非営利組織として、未来のサッカーのためにワールドカップを死守しなければならない」と語った。続けて「愚かなアイデアだ」と切り捨て、インファンティーノ会長への支持撤回を表明したイングランドサッカー協会(FA)の決断に強く賛同した。

インファンティーノ会長によるFFE推進をめぐる波紋は、FIFA内部の問題にとどまらず、世界のサッカー界における権力闘争の様相を呈している。UEFA、アジアサッカー連盟(AFC)、北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)は先日、共同書簡を発表。FFE推進プロセスにおいて信頼が著しく損なわれたとして、FIFA指導部を公に糾弾した。
特にこれら3つの大陸連盟は、FIFAが十分な議論を経ずに計画を強行したことを問題視し、今回の事態が単なるビジネスモデルの是非を超え、サッカー界の健全性と指導者の信頼を問う重大な事案であると指摘した。
イングランドをはじめとする加盟国も次々とインファンティーノ会長に背を向けている。イングランドFAに続き、ウェールズ、スコットランド、アイルランドなどが相次いで支持を撤回。さらにイスラエルサッカー協会も、FIFAとUEFA間の「信頼の危機」を理由に反旗を翻した。ニュージーランドサッカー協会もインファンティーノ会長の連任を支持しないと宣言し、FFE推進プロセスに関する独立した調査を強く要求している。
マスターズCEOは、会長批判にとどまらず、FIFAを率いる新しいリーダーの必要性を示唆した。インファンティーノ会長は来年3月に予定されるFIFA会長選挙で連任を目指すが、未だ明確な対抗馬は現れていない。
マスターズCEOは特定の候補を挙げることは避けたものの、世界のサッカー界を再び一つにまとめ上げる「統合候補(unity candidate)」の登場を強く望むと明かした。彼は「次期リーダーには、FIFA改革という議題が不可欠だ」と述べ、「おそらくFIFA会長の役割そのものと、他組織との関係性まで含めた構造的な改革が求められるだろう」と展望を語った。



