
劇的な決勝ゴールが決まった瞬間も、ベンチから狂喜乱舞して飛び出すことはありませんでした。相手監督と温かい抱擁を交わし、審判団とは紳士的に握手。試合後には「我々は勝利に値したが、エスパニョールも負けるような試合内容ではなかった」と対戦相手への敬意を忘れませんでした。
実に13年ぶりとなるレアル・マドリードへの復帰を果たした名将ジョゼ・モウリーニョ監督が、記念すべき復帰戦で、かつてとは全く異なる“成熟した姿”を披露し、大きな話題を呼んでいます。
モウリーニョ監督率いるレアル・マドリードは23日、スペイン・バルセロナのRCDEスタジアムで行われたラ・リーガの試合でエスパニョールと対戦。後半45分にカルロス・エスピが放った劇的な決勝ゴールにより、2-1で白星発進を飾りました。
モウリーニョ氏がレアルの指揮官として公式戦のピッチに立つのは、2013年5月のオサスナ戦以来、なんと4380日ぶりのことです。
試合終了間際にエスピの劇的ゴールがネットを揺らした瞬間、ベンチのコーチ陣や控え選手たちはタッチライン沿いを狂喜乱舞しながら走り出しました。しかし、モウリーニョ監督は力強く拳を握りしめたまま、ゆっくりと立ち上がっただけでした。ピッチへ走り出す代わりに、主将のフェデリコ・バルベルデを呼び止め、冷静に短い指示を与える姿が印象的でした。かつて大一番で見せた、タッチラインを激走するセレブレーションや、相手ベンチを刺激するような過激なパフォーマンスとは実に対照的です。今シーズンを前に「以前よりも落ち着いた人間になった」と自ら語っていたモウリーニョ監督ですが、まさにその言葉を復帰初戦からピッチ上で体現してみせました。
試合終了後の振る舞いもまた、大人の風格に満ちていました。モウリーニョ監督は、エスパニョールのマノロ・ゴンサレス監督をしっかりと抱きしめて健闘を称え合い、主審ともがっちりと握手を交わしてからロッカールームへと引き揚げました。試合後のインタビューでも、「我々は勝利に値するプレーを見せた」としながらも、「同時に、エスパニョールも敗戦に値するような内容ではなかった」と語り、敗者を思いやる素晴らしいスポーツマンシップを示しました。
しかし、だからといって選手たちに要求する基準が甘くなったわけではありません。モウリーニョ監督は就任直後、「妥協してはならない一線がある。ピッチ上での献身性だけは、絶対に欠かしてはならない」と述べ、選手たちのプロとしての姿勢を厳しく律しています。
この日の試合でも、レアルは一時プレスの強度が落ちた隙を突かれてエスパニョールに同点ゴールを許し、後半は膠着状態に陥る苦しい展開を強いられました。しかし最終的には、モウリーニョ監督が後半に投入した21歳の若きアタッカー、エスピが試合を決定づける仕事を果たしました。英紙『ザ・ガーディアン』は「勝利への並外れた執念や、選手たちに求める高いインテンシティは当時のままだが、それを表現する方法は確かに変わった」と評価しつつも、「レアルでの“第二期政権”をスタートさせたモウリーニョが本当に変わったのかどうかは、今後の戦いを見守る必要がある」と、これからの手腕に熱い視線を注いでいます。


