

ミルウォーキー・ブルワーズがワールドシリーズ優勝を決めた瞬間、ボストンの捕手ウィルソン・コントレラス(34)は誰よりも熱狂的な姿を見せた。ミルウォーキーのユニフォームを着用し、観客席から試合を見守っていた彼は、優勝が決まると家族と抱き合い、喜びを爆発させた。その視線の先には、ミルウォーキーの正捕手であり、今シリーズの最優秀選手(MVP)に輝いた弟ウィリアム・コントレラス(29)の姿があった。
長年のライバル関係と数々の衝突
実は、ウィルソンとミルウォーキー・ブルワーズの間には深い確執が存在する。ウィルソンは2016年にミルウォーキーの最大の宿敵であるシカゴ・カブスでデビューし、2022年までプレー。その後もナショナルリーグ中地区のセントルイス・カージナルスで3シーズンを過ごし、常にミルウォーキーと激しい戦いを繰り広げてきた。
単なる地区ライバルという枠を超え、死球を巡るトラブルが多発していた。ウィルソンはミルウォーキー戦で通算123試合に出場し、実に24回もの死球を受けている。これはメジャーリーグ史上、特定の球団から受けた死球数として突出した数字である。2021年にはベンチクリアリングにまで発展し、数日後の試合で決勝ホームランを放ったウィルソンが観客席に向かって「黙れ」というジェスチャーを見せるなど、互いに敵対心を隠さない関係が長年続いていた。

「敵」から「最大のサポーター」へ
今年の4月にも、ウィルソンは再びミルウォーキー戦で死球を受け、捕手マスクを被っていた弟ウィリアムが兄を制止しなければならない場面があった。これに対し、ミルウォーキーの主将クリスチャン・イエリッチが「10年間見てきた光景だ」と語るほど、両者の対立はファンにも周知の事実となっていた。
しかし、家族の絆は長年の因縁をも乗り越えた。ウィルソンはワールドシリーズ第5戦を目撃するため、ハワイからタンパベイまで駆けつけた。あれほど対立してきたチームのユニフォームを自ら袖を通し、観客席から弟を懸命に応援する姿は、多くのファンの注目を集めた。
兄弟の絆がもたらした栄光
試合後、MVPトロフィーを手にしたウィリアムは「兄は僕の親友だ。これまでにしてくれた全てのことに感謝している」と語り、兄弟の深い愛情を強調した。韓国や日本のプロ野球界においても、家族愛はファンの心を打つ重要な要素であり、この劇的な和解の瞬間は多くの野球ファンの間で感動を呼んでいる。
ウィリアムは今年3月のWBCでベネズエラ代表として優勝を経験し、さらに球団史上初となるワールドシリーズ制覇という快挙を達成した。2016年にカブスで優勝を経験している兄ウィルソンにとっても、弟が同じ栄光を掴んだことは感慨深いものがあるだろう。かつて憎んだはずのミルウォーキーのユニフォームを着ていたウィルソンは、この日ばかりは誰よりも熱狂的な「ミルウォーキー・サポーター」として弟の成功を祝っていた。


