
大会開幕直後に浮上した人種差別疑惑
国際サッカー連盟(FIFA)が人種差別根絶に向けた強い姿勢を示す中、新たに創設された「FIFA U-15ワールドカップ&フェスティバル」において、人種差別発言が疑われる事態が発生し、試合が中断されるという異例の事態となった。
英ガーディアン紙などの報道によると、アゼルバイジャンのバクーで開催されていたグループリーグ、イングランド対アイルランド戦での出来事である。アイルランドが4-1でリードしていた試合終盤、イングランドの選手が相手選手から人種差別的な発言を受けたとスタッフに報告したことが発端となった。
イングランド側の抗議と試合中断の経緯
報告を受けたイングランドのコーチングスタッフは、直ちに主審へ事実関係を伝え、選手をピッチから引き揚げさせた。その後、イングランド側が試合の続行を拒否したため、主審は試合を中止する判断を下した。
この事態に対し、FIFAの広報担当者は「当該事案を深刻に受け止めている」とコメントした。現在は公式報告書を収集している段階であり、調査完了後は独立懲戒委員会へ付託し、適切な後続措置を講じる方針である。なお、現時点では人種差別発言の事実認定や懲戒処分は決定していない。
FIFAが掲げる「無寛容の原則」と大会の背景
皮肉なことに、この事件が発生した26日、FIFAは人種差別根絶を目指す「選手の声パネル(Player Voice Panel)」の活動内容を公表したばかりであった。同パネルは、元リベリア大統領のジョージ・ウェア氏を名誉キャプテンに迎え、差別撤廃に向けた揺るぎない意志を再確認していた。
FIFAは昨年9月、現役・元選手らの知見を政策に反映させるべくこのパネルを設立した。今回のU-15ワールドカップは、189の加盟国・地域から3000人以上が参加する大規模なユース大会として注目を集めていた。従来の11人制とは異なり、8人制で前後半20分ずつという短縮ルールを採用するなど、ユース選手の育成と交流を主眼に置いた大会である。
全世界の若き才能が和合を誓って集まった初大会において、開幕からわずか3日で人種差別問題という大きな影が差した。FIFAが掲げる「無寛容の原則」が、創設されたばかりの新しい大会運営の中で最初の厳しい試練を迎えている。


