
黒い腕章を巻き、試合前の握手も行わない。イスラエルの国歌斉唱中はうつむき続ける。アイルランド代表チームが、ガザ地区の戦争をめぐる議論の渦中でイスラエルとの一戦に臨み、3-0で勝利を収めた。
試合前の異例の意思表示
アイルランド代表の選手たちは、戦争の犠牲者を追悼する意志を込めて黒い腕章を着用した。イスラエル国歌斉唱時には選手全員がうつむく姿勢をとり、両チームによる試合前の握手や主将同士のペナント交換も行わなかった。アイルランドサッカー協会(FAI)は、こうした一連の行動方針を事前にイスラエル側およびUEFAへ伝達していた。

試合展開と国内の議論
試合はアイルランドが序盤から主導権を握った。前半14分にトロイ・パロットが先制弾を放ち、その2分後にはアダム・イダが追加点、さらに25分にはジャック・モイランが加点し、早々に3-0と勝負を決めた。
今回の試合開催については、アイルランド国内で激しい論争が巻き起こっていた。数ヶ月前から一部選手やスポーツ関係者、市民団体を中心にボイコットを求める声が高まっていたためだ。試合前日、代表選手たちは長時間の会議を経て投票を行い、その結果、多数決で出場を決定したという経緯がある。FAIも「選手の意見は分かれたものの、試合実施の意向が多数を占めた」と公式発表した。
「個人の信念」による離脱と支援の動き
一方で、正ゴールキーパーのギャビン・バズヌは、「イスラエル戦への出場は自身の信念に反する」として代表から離脱する決断を下した。バズヌは来月4日に予定されている第2戦にも出場しない見通しだ。なお、主将のダラ・オシェイは、今回の試合で支払われる手当をガザ地区支援のために寄付することを表明している。
アイルランドにおけるパレスチナ・ガザ地区情勢への強い関心は、歴史的背景や人権団体による長年の啓発活動が深く根付いている社会状況を反映している。スタジアムの雰囲気は静かで、ハンガリーのデブレツェンで行われたこの一戦には、イスラエルファン数百人と少数のアイルランドファンのみが入場を許可された。
今後の展望
アイルランドはネーションズリーグで初戦のコソボ戦に0-1で敗れていたが、今回の勝利で1勝1敗となった。両チームは来月4日に再び対戦予定だが、本来アイルランドのホームゲームであった第2戦は、運営上の懸念から無観客試合としてセルビアのTSCアリーナで開催されることとなった。


