
抗議の背景にある人種差別の現実
「私に対する侮辱ではなく、選手に対する人種差別への怒りだった」。カンチャナブリー・パワーFCのパク・ハンソ監督は、タイのサッカーリーグで起きた観客による騒動について、自身の立場を改めて表明しました。
パク監督は6日、マネジメント会社を通じ、騒動の経緯について詳細を語りました。指導者として常に感情を抑制し慎重に行動すべきというプロ意識を持ちながらも、目の前で起きた選手への人格否定や人種差別的な言動を看過できなかったと主張しています。これは、東南アジアのサッカー現場において時折指摘される、ファンによる過激な野次や差別問題が浮き彫りになった瞬間でした。
騒動の発端と「キムチマン」発言
騒動の舞台となったのは、先月1日に開催されたタイプロサッカー2部リーグ第9節、パタヤ・ユナイテッド対カンチャナブリー・パワーFCのアウェイ戦です。試合は2-2で終了しましたが、ロッカールームへ向かう途中で事件は発生しました。
映像には、パク監督が観客から「キムチマン」という韓国人蔑視とも取れる罵倒を受け、静かにするようジェスチャーをする姿が収められています。しかし、事態は監督個人への侮辱にとどまらない深刻なものでした。
選手が直面した人種差別の実態
調査の結果、同試合ではマダガスカル出身のFWジョン・バジオ選手に対しても、人種差別的な罵倒が行われていたことが判明しました。バジオ選手は現地メディアの取材に対し、外国人男性から「猿」と呼ばれたことを明かしました。バジオ選手は「タイで10年間プレーし尊重されてきた。自分の肌の色を誇りに思っており、変えるつもりはない」と毅然とした態度を示しています。パク監督の抗議は、こうした自身の教え子に対する不当な扱いへの憤りが大きな要因となっていたのです。
タイサッカー界と今後の対応
パク監督は「タイのサッカーとファンを尊重している。この出来事がタイサッカー全体への否定的な評価に繋がることは避けたい」と、事態の沈静化を図るとともに敬意を示しました。現在、タイサッカー協会は証拠の収集を進めており、公式な懲戒および倫理規定に基づいた処分を検討しています。タイのサッカー文化におけるこうした差別問題への厳格な対応が、今後の改善につながるのか注目が集まっています。


