
ハリー・ケインの退団に続き、ソン・フンミンまで不在となったトッテナムが、開幕から深刻な得点力不足に苦しんでいます。相手陣内までボールを運ぶ過程には改善の余地が見られるものの、決定機をゴールに結びつけるフィニッシャーの不在により、攻撃効率が極端に低下しているという分析が英ガーディアン紙を中心に広がっています。
開幕から4試合無得点という歴史的低迷
トッテナムは2026-2027シーズンのプレミアリーグ開幕後、4試合を戦って未だにゴールを挙げられていません。クラブ史上、開幕から4試合連続無得点は初の快挙ならぬ屈辱的な記録であり、プレミアリーグ全体で見ても約20年ぶりという異例の事態です。
失われた「得点の方程式」と新戦力の苦悩
かつてトッテナムは、ケインとソン・フンミンというプレミアリーグ屈指のコンビを擁していました。彼らは少ないチャンスでも高いシュート精度でゴールを量産してきましたが、現在はその得点源を失った状態です。
代役として期待される選手たちも、現時点では期待に応えられていません。昨季チーム最多攻撃ポイントを記録したリシャルリソンは選手名簿から除外されており、ドミニク・ソランケもまた、かつての主力コンビほどのインパクトを残せていません。ソランケはチャンピオンシップでの実績こそあるものの、プレミアリーグでの経験値不足が課題として指摘されています。
スタッツが示す攻撃の非効率性

チームの非効率性は各種データにも表れています。今シーズンのトッテナムはプレミアリーグ最多のドリブル成功数を誇りますが、それがシュートや得点機会につながったケースは極めて少数です。また、相手ゴール付近での「ハイターンオーバー(高い位置でのボール奪取)」はリーグ4位の多さですが、そこからシュートに至る確率は5.9%と、リーグ平均(19.9%)を大きく下回っています。
さらに、相手ペナルティエリア内でのボールタッチ数は確保できており、攻撃エリアへの侵入自体は成功しています。しかし、シュートを打つまでに平均3.97回のボールタッチを要しており、この「判断の遅さ」が相手守備陣に陣形を立て直す余裕を与えてしまっています。
チームの若返りと組織形成の過渡期
攻撃陣の問題だけでなく、チーム全体の刷新も影響しています。先発メンバーの平均年齢はリーグでも若く、経験豊富な選手が限られているため、組織としての連係が構築途上にあります。ロベルト・デ・ゼルビ監督は先発メンバーを頻繁に入れ替えていますが、度重なる主力選手の負傷も重なり、戦術の浸透を妨げる要因となっています。
デ・ゼルビ監督はリバプールとのカラバオカップ後、「確実なチャンスでフィニッシュを突き詰める必要がある」と課題を認めました。かつてソン・フンミンやケインが個の力で解決していた「最後の局面」を、現在は複数の選手でいかに分担し、構築していくか。トッテナムは今、戦術的な転換期にあると言えます。


