
所属チームでは自由奔放にピッチを駆け巡り攻撃を牽引する一方で、代表チームでは自身の持ち味を十分に発揮できない。スペイン現地メディアが、韓国代表MFイ・ガンイン(アトレティコ・マドリード所属)の対照的なパフォーマンスに注目し、その要因を分析しています。
スペインのスポーツ紙「ムンド・デポルティーボ」は、「イ・ガンインの二つの顔」と題した記事を掲載しました。同メディアは、アトレティコ・マドリードで目覚ましい活躍を見せるイ・ガンインが、なぜ韓国代表チームでは期待されたほどの結果を残せなかったのかについて、詳細な戦術的分析を行っています。
所属クラブと代表チームで異なる役割:アトレティコでの「自由」と代表での「制限」
現地メディアが最も注目したのは、所属クラブと代表チームにおいてイ・ガンインに与えられている役割の違いです。
アトレティコ・マドリードにおいてイ・ガンインは、主に右サイドを起点としながらも、中央へ自由に侵入して攻撃に変化をつける役割を担っています。ペナルティーエリア付近まで積極的に侵入し、得意の左足から鋭いシュートを放つほか、独創的なパスで決定機を演出するシーンが多く見られます。
一方で、ロベルト・モレノ監督が率いる韓国代表チームでの状況は大きく異なりました。同じ右サイドでの起用であっても、所属クラブのようにピッチを自由に動き回ることは許されず、戦術的な制約のなかでプレーせざるを得ない状況が続いています。その結果、彼の最大の強みであるクリエイティブなパスや、左足を活かした決定的な攻撃シーンが影を潜めることになりました。
創造性を制限する戦術的アプローチの課題
ムンド・デポルティーボ紙は、「韓国国内では、モレノ監督の戦術がイ・ガンインの創造性を制限し、それがパフォーマンス低下につながっていると見られている」と指摘しています。さらに、「単にイ・ガンインに攻撃的な役割を与えるだけで、自動的に得点やアシストといった結果に結びつくわけではない」という専門家の分析も紹介されました。
これは、単に前線に配置するだけでは彼のポテンシャルを最大限に引き出すのは難しいということを示しています。イ・ガンインが真の強みを発揮するためには、自由な動きをある程度保障し、プレーの自主性を重んじるシステム構築が不可欠であると考えられます。

数字が証明するパフォーマンスの温度差
実際に、イ・ガンインの所属クラブと代表チームでの個人成績には大きな開きが見られます。
アトレティコ・マドリードにおける今シーズンのイ・ガンインは、2ゴール・1アシストを記録して素晴らしい開幕スタートを切りました。マラガ戦およびオサスナ戦では、1試合で最も優れた活躍を見せた選手に贈られるMVP(マン・オブ・ザ・マッチ)に2度選出。さらに、ラ・リーガが選定する「9月のベストゴール賞」や、ファンが選ぶ「9月の月間MVP」もダブル受賞し、チームの攻撃を牽引する中心選手としての地位を確固たるものにしています。
しかし代表チームに戻ると、その流れは一転しました。先月末から今月初めにかけて開催されたウルグアイ、ベネズエラ、ウズベキスタンとの親善試合3連戦で、計218分間の出場を果たしたものの、記録した攻撃ポイントは1つのアシストのみにとどまりました。所属クラブでの華々しい活躍から寄せられていた高い期待に対して、やや消化不良のまま代表ウィークを終える形となっています。
同メディアは、「イ・ガンインが韓国代表で過ごした時間は、アトレティコ・マドリードでの素晴らしいシーズン序盤と比較すると、非常に静かなものであった」とし、「期待に満たないもどかしい感情を抱えたまま、スペインのクラブへと戻ることになった」と論評しました。
代表ウィーク明けのコンディションと足首の負傷懸念
代表スケジュールを消化したイ・ガンインは、再びアトレティコ・マドリードでの戦いに照準を合わせます。しかし、ここで新たな懸念材料が浮上しています。ウズベキスタンとの親善試合に先発出場したイ・ガンインですが、足首に違和感を訴え、前半終了とともに自ら交代を申し出ました。過密日程が続くなか、怪我の程度やリカバリーの進捗状況が、今後のクラブでの先発起用やパフォーマンスを左右する大きな変数となる見込みです。
韓国代表における「絶対的エース」としての重圧と、ラ・リーガの強豪アトレティコでの激しいポジション争い。欧州最前線でプレーする若き才能が、この戦術的ジレンマとコンディション調整の難局をいかに乗り越えていくのか、今後の動向に注目が集まります。



